【インタビュー】株式会社ジェネシア・ベンチャーズ 代表取締役 田島 聡一氏(1/1ページ) - Widge Media

【インタビュー】株式会社ジェネシア・ベンチャーズ 代表取締役 田島 聡一氏(1/1ページ)

記事紹介

投資家の立場から見た理想のCFO像や、コーポレート部門に期待することなど、「企業価値向上を担うコーポレート部門のあり方」というテーマで、様々な見解をお話しいただく専門特集。
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ 代表取締役 / ジェネラル・パートナー 田島 聡一氏に、日々の活動の中で感じる率直な思いを伺った。

※インタビュアー/株式会社Widge 代表取締役 柳橋貴之

(オンラインをベースに、撮影側のマスク着用、ソーシャルディスタンス等、感染対策を十分に施した上でインタビューを実施しております。)

早速ですが、御社の特徴や投資方針について教えてください。

私たちの特徴ですが、シードステージ・ITビジネスに特化しているという点と、日本と東南アジアに投資している点が大きな特徴だと思います。投資方針に関してはプレシードからシードステージにフォーカスし、所謂リード投資家として投資をさせていただいていて、シリーズA以降も必要に応じて積極的に追加投資をしていくというスタンスのベンチャーキャピタルです。

この方針は御社の立ち上げの際に決められていたのでしょうか?背景などもあればお聞かせください。

初めから決めていましたね。前職でサイバーエージェント・ベンチャーズ(現:サイバーエージェント・キャピタル)の代表をしていたのですが、前職での投資がシードステージにフォーカスしていたことが大きいです。

シードで投資をしてゼロイチの挑戦に対して伴走者として関わっていくスタイルが私自身もエキサイティングでしたし、役割が大きく責任も重い分、取り組む価値も大きいなと感じていたので、そこを引き続きやっていきたいと感じていたのが理由の一つです。また、前職でも東南アジアにも投資をする中で、東南アジアのビジネスの可能性を私自身も体感し、東南アジアから日本が学べることも多いなと感じていました。

そういった部分を重ね合わせると、プレシードからシードのリード投資家として日本と東南アジアでやっていくことが私自身のやりたいことでもありますし、今後大きく社会的インパクトを生み出していける、そういう投資戦略にもなっているのではないかと考えています。

 

ありがとうございます。田島さんご自身がスタートアップ企業に投資判断をする上で大切にされていることはありますか。

SaaS企業でいう「MRRがいくらで…」といった定量的な話はありつつも、まず我々としては、売上及び収益を持続的に出し続ける仕組みとしての価値を重要視しています。

具体的に言うと、売上がいくら上がっていても、トップセールスマンが辞めてしまったら売上が上がらなくなるような会社であれば、はっきりいって企業価値は高くないと思うんです。売上が上がることと企業価値が向上していることは別物だと思っていて、売上及び収益を持続的に上げ続けられる仕組みこそが企業価値なのかなと感じます。

ブレイクダウンすると、それは強いチームであり、戦略であり、ポジショニングであり、その会社が取れているデジタルデータなどと多岐に渡り、その積分が企業価値になっていくと考えています。よくいわれるMRRの何倍がバリュエーションになるといったステレオタイプな考え方より、持続的にMRRを生み続けるエンジンの価値を見極めるようにしています。

見極める方法も多面的な角度から見ていらっしゃるわけですよね。

そうですね。例えばSaaS企業であれば、お客さまの課題を解決する為にSaaSが導入される訳ですが、導入後はクラウドの上にお客さまの情報が溜まっていきます。そのデータを利活用した時にどのような二の矢三の矢を打てるか。デジタルデータの利活用の幅や価値の部分も中長期的な企業価値になっていくと思うので、どれだけ広く複眼的に見られるかも重要だと考えます。

なるほど。

あと、昨今話題になっているESG経営なども企業価値を判断する上での重要な意味合いがあります。いくら利益が出ていても、社員が疲弊しながら働いている状態だと、それはサステナビリティがないと考えられます。持続的に収益を生み続けるエンジンとしての価値は、やはりESGがしっかりと意識され実践されていないと落ちてしまう。ESG経営は企業価値とも連動している真っ当な考え方だと私たちは考えています。

素晴らしいお考えですね。ちなみに、企業価値向上が期待できる会社とそうではない会社との違い、その判断の軸といったものはありますか?

もし趣旨からずれないようでしたら、今の質問を読み替えて、企業価値を高められる経営者とそうではない経営者の違い、といった点でお答えしても宜しいでしょうか。

是非お願いします。

シードのスタートアップでいいますと、シリーズAに向けて売上を上げることだけに意識が向いている起業家と、強くて優しい組織・チームを創ることに意識が向いている起業家とでは、やはり全然違いますよね。当然、後者のほうが、先ほど申し上げたエンジンの価値を創る、企業価値向上に資する、企業価値が高まりやすいスタートアップだと思います。

シードのスタートアップについては、常に次のファイナンスのことを意識しているので、「これくらいのバリュエーションをつけるのであれば、これくらいの売上が必要…」といった、所謂PSR何倍や売上の何倍…などの方程式的なものが、世の中、そして会話に溢れているんです。然し、そこに過度に目を取られ過ぎると売上を積み上げることに意識が行き過ぎて、チームや仕組みを創ることになかなか目がいかなくなります。そうなってくると、企業価値は高まらないと思うんです。

起業家が、短期的な売上を上げることではなくて、中長期で成長し続けるためのエンジンを創る部分に意識が向けられているかどうかが重要な分岐点だと思います。

自分一人でできることは限られていますよね。だからこそ、高みを目指している起業家であればあるほど、チーム・個人の強みを引き出し、個人と個人の掛け算をいかに最大化させるかに自ずと意識が向くのではないかと考えます。

起業家側からしても、そういった真っ当なお考えの投資家と出会えるかどうかも分岐点のような気がします。

それはあると思いますね。

先ほど「(PSR、売上などの)方程式」と仰っていましたが、まだまだその方向に話をもっていかれるキャピタリストの方も多いのではないでしょうか。

ベンチャーキャピタルって「投資家」ではなく「資本家」だと思うんです。

投資家と事業家を足して二で割ったような存在だと思っていて、シード投資であれば、なおさら、より事業家のウエイトが高くなる方が良いと思っています。

事業を創る=企業価値を創っていくという部分に携わっている立場だと思うので、そこはピュアに投資家としての目線で見るだけではなく、企業価値をどう高めるかという事業家としての考え方や視点もすごく重要だと考えています。

真の価値というのはどこにあるのかということですね。エンジンのお話もありましたが、外向けのものだけじゃないというのをすごく感じます。

ありがとうございます。

次に未上場のうちから意識すべき資本政策・エクイティストーリーについてもお伺いしたいです。

はい。

昨今、上場後(Post-IPO)を見据えた上での資本政策やエクイティストーリーの立て方に関して参考となる事例が複数出てきていますが、未上場の内から意識すべき資本政策に対してアドバイスがあれば伺いたいです。

ラウンド毎に適正な放出シェアがありますが、まだラーニングが業界全体としてもそこまで高くないのが現状だと思います。初めての資金調達の場合、良い投資家に当たらないと、後々苦労することが多いかもしれません。

スタートアップとしては適正な資本政策を描くべきですが、バリュエーションを下げたいと考える投資家が多いので、例えば地方の企業だとシェアが多めに取られている場合が結構あるように思います。資本政策は、信用できる方にきちんと相談したほうが良いですね。

また、投資家がスタートアップのバリュエーションを測る上で、足元のトラクションからバリュエーションをはじく方法と、中長期でIPOをした時のバリュエーションから割り引く方法と、大きく2つあると思っています。資金調達がスムーズな起業家であるほど中長期の絵をきちんと描くことができているので、IPOをした時にどれくらいの事業の規模感になりそうかということを投資家に対してうまくイメージさせていますよね。

起業家が足元のトラクションの話ばかりするのではなく、中長期でどのような会社になって、どのようなインパクトを生み出していくのかというところをしっかり話すことができれば、投資家の目線が足元ではなく未来に向くので、バリュエーションの考え方が変わるんです。実際にそれがうまくできている起業家は良い条件でのファイナンスを実現していて、PSR何倍などのロジックからは全く外れた資金調達をしていることが多い。ですから、そこにとらわれないということが、実は答えなのではないかと思います。

起業家の過去の経験値にも左右されるものでしょうか。

もちろん過去の経験もあると思いますが、どれだけ組織を創れているかであったり、中長期の未来を見据える時間を捻出することに意識が向けられているかということが重要だと思います。

シリーズAを越えてもずっとプレーヤーから抜け出せない起業家がいますが、組織を作っていくことで、経営者本来の役割である非連続な成長エンジンを作ったり、優秀な仲間を集めたり、資金調達することに集中できます。そういった部分にフォーカスできる体制を作れているかどうかは、そこに対して時間を作る努力をしていないと難しいですよね。ご質問をいただいて、すごく多面性の要素があると感じました。

起業家の隣に、CFOがいるのといないのとでは違いがありますか。

もちろんあると思います。支援先の中でも、「資金調達がうまいな」と思える会社は、やはり非常に優秀なCFOがいますよね。

レイターステージの優秀なCFOがいるスタートアップの資金調達のプレゼンテーションを見ていると、7割はCFOが答えて3割を起業家が補完するというイメージになっています。それはどういったことかというと、CFOでありながら、事業理解も極めて深く、且つ中長期の部分に関してもCEOとのシンクロが深いので、ほとんどCEOのような役割を担っているということになります。そういったCFOがいる会社は本当に強いですよね。

理想のCFOはどういった方かお伺いしようと思っていたのですが、それが答えということですね。

そうですね。CFOは資金調達もそうですが、お金を最適配分することが重要な仕事になると思いますので、そもそも事業の最適配分を理解していないとできません。事業と財務は密接に連関しているので、事業理解もされていて且つ組織理解もされているというのが理想ではないかと思います。逆にそれ以外だと、経理部長止まりになってしまうのかなと感じます。

CFO候補となると、それまでの経歴が、投資銀行や投資ファンド出身なのか、一般の事業会社出身なのかなど、いくつかパターンがあると思いますが、結局はどこまでコミットしきれるかという点に尽きると個人的には感じています。田島さんから見られて、ここがポイントではないかということがあればお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

いろいろなCFOの方とお会いしていますが、まさにそうかもしれないですね。投資銀行系の方は何にレバレッジを効かせているかというと、まず投資家とのネットワークやコネクション、いろいろな投資家のキーパーソンと繋がっていること、あとは投資家が求めている勘どころを理解している、そのあたりが投資銀行系の方は長けていると思います。ただ、それだけでスタートアップでやれるかというと難しく、事業をやることに対して本当に興味があって好きなのかが重要だと考えます。そこが弱い方だと、「何億円の会社」のような部分にしか目がいかないので、結果的に厳しくなってしまいます。

私が感じているのは、どのようなスキルが必要かというよりは、その事業が大好きで、事業を大きくすることにまず自分自身がしっかりと強い意志があり、仲間と一緒に大きなことをやっていこう、仲間にもっと幸せになってほしいなどといった想いを持てるかどうかだと思います。そういった強い想いがある方は、自ずと努力もされるので、結果的にスキルがついてくるんですよね。

少し話は逸れますが、弊社のキャピタリストって、キャピタリスト経験者がほぼいないんです。弊社では、起業家が大好きで、スタートアップ愛があり、こういった世の中にしていきたいといった想いや意志がある人を採用しています。

キャピタリストも、ファイナンスの知識などは後付けでどんどんついてくるので、それと同じことがCFOにも言えるのではないかと思っています。もちろん一定の経験や知識を持っていることに越したことはないですが、一番重要な部分は「想い」だと考えています。

おっしゃる通りですね。

弊社のキャピタリストは他に出しても全く恥ずかしくないですし、むしろ全然負けていないと思っているので、今申し上げたことが我々の採用時に意識しているところです。

とても素敵なお話ですね。御社を立ち上げた時からその想いはずっと強かったのですか。

はい、やはり自分自身がやりたいと思うことと会社のやろうと思っていることが合致していることで一番パワーがでると思うんです。そのアラインしたところでの仲間探しがしたいという点はすごく意識していましたね。

CFOと通じるお話かもしれませんね。やはりそこにモチベーションがないと、表面しか見られないと思いますので。

そうですね。CFOは、資金の最適配分を常にし続ける役割なので、組織や事業とも密接に連関しているものの、資金の管理しかできていない方も割と多い印象があります。スタートアップあるあるかもしれませんが、例えば会計士有資格者でCFOとして入社したものの、なかなかCFOのミッションにはたどり着けず、ご自身も会計士としてのスキルを活かしたいという想いからCFOを断念されるということはよくあることです。その辺が差分なのではないかと思います。

たしかにそういったケースはしばしば見受けられますね。

当事者側も意識しなければいけないかもしれませんし、起業家側も意識しなければいけないと思います。

ありがとうございます。次に、コーポレートの組織についてお尋ねできたらと思います。シード、アーリーからミドルに至るにあたって少しずつ変わっていくと思うのですが、株主目線でフェーズ毎の理想の組織像があればお伺いしたいです。

一般的に、コーポレートは「守り」という印象ですよね。Bizサイドが攻めで、コーポレートが守りで、そこが電池のプラスとマイナスみたいな関係性になりがちなのですが、攻めと守りで二分化しているコーポレートはあまり良くないと思っています。「企業価値最大化」という点にきちんとアラインできていれば、恐らく方向性は一緒だと思うんです。

前職の話になりますが、サイバーエージェントでは(コーポレート組織に対して)企業価値を最大化させるために、Bizサイドの何をサポートすれば企業価値が最大化されるのか、というようなミッションの持たせ方をしていた印象があります。当然守りも強いですが、すごく攻めることもしていて、とてもバランスが取れていたと思います。

そういった最適なリスクテイクをきちんとできるようなコーポレート体制が重要ですよね。

スタートアップだけではなく、上場企業もできていない会社が多いように思います。守り守り守り…ではなくて、企業価値最大化に向けてどうあるべきかを考えることで視点のスイッチが変わり、そのステージごとで最適なリステイクができる環境=理想的なコーポレート像になるのだと思います。

とても良いお話です。やはりまだまだコーポレート=「守り」と捉えている方も多いので、「最適なリスクテイクを」という点、その通りだなと思いました。

単純に守りということではないですよね。「最適なリスクテイク」という言葉がすごく中庸な表現じゃないかなと思っています。

ちなみに、コーポレートの中でも経理、人事、法務などいくつかあると思いますが、それぞれこうあって欲しいなどというお考えがあれば、お伺いしてみたいです。

何かの方法や答えを求めたときに、難しい理由を述べられる方は沢山いますが、どういった解釈をしたらこういうストラクチャーができるといった「解」を出せる方は意外と少ないですよね。なので、そういう方がいるコーポレートは強いと思います。できない理由を述べるより、頭を拡張させながら考えて提案型にもっていける方がいると、経営はすごく助かると思います。

実際にそういった体験もお持ちでしょうか。

はい。私も前職時代、そういう方には相談しやすかったですし、とても有難い存在でしたね。

「企業価値最大化に向けてどうあるべきか」というような共通ミッションを持てると良いのですが、そうではない部分(例えば「ミスをしない」など)にKPIを置いてしまうと、ほとんどリスクを取らなくなってしまいますよね。結果としてメンバーも育たなくなります。前職時代でも、そういったコーポレートの人材の方が評価されていたし、重宝されていた印象があるので、スタートアップにおいても共通するところだと思います。

経営者とコーポレートの関係性について、こういった関係性が良いのではないかといったお考えはありますか。

スタートアップにおける経営者は、新しい価値を生み出すことが仕事だと思うので、その新しい価値を生み出すためにどうすればできるのかという会話ができるなど、良き相談相手といった関係性が理想ではないでしょうか。

一般論では、アクセルとブレーキになりがちなので、そういった二元論にならないような関係性が大切だと思います。絶対に外せない部分を明確にして、余白も持たせつつ、そういうメリハリ、強弱のグラデーションを描くことができるコーポレートの方がいれば、非常に頼もしいですよね。

そういった組織を作られている会社さんはまだまだ限られていますか。

限られていると思いますし、そういうミッションになっていないのではという気がしています。ある程度その方の目標とアラインしていて、且つ、縁の下の力持ち的な方に光が当たる環境なのかどうかということも、その方の素質を引き出す上でとても重要なポイントだと思っています。

スタートアップだからこそコーポレート組織はこうあるべきだというメッセージがあればお願いします。

世の中の経済活動は、既存の価値を動かしたり維持したりすることでお金を生み出しているのが殆どだと思うのですが、スタートアップはまだこの世にない新しい価値を生みだすことが役割です。そこを屋台骨として支えるコーポレート部門なので、できない理由を述べるのではなく、どうやったらできるかを起業家・経営陣と一緒に考え、ストラクチャーを発明し、守らなくてはいけない部分は断固守りつつ、余白を持たせてチャレンジできるというコーポレート部門であってほしいと思います。

ありがとうございます。最後にこれは伝えておきたいということがあれば別途お聞かせください。

前半にお話しした、「企業価値の考え」についてはもっと啓蒙していきたいですね。

とても大切なお話でした。

海外と比べて日本企業は、無形資産があまり評価されていないんですよね。例えば、ブランドエクイティもそうですし、デジタルデータや組織としてのカルチャーの強さなど、広義の知財の部分も評価されていないことが多い。そのため、バリュエーションの付き方が全然違うので、それによって調達できる金額にも差が出ていて、根本的に見直していかないと、だいぶ厳しいなと感じているところです。

ESGを重視していない会社は株価もディスカウントされ、そういったことがきちんとできている会社は正当に評価されるようになることが大切だし、目に見えない数字以外の部分に対してどれだけ株式市場も含め意識がもてるか、そこの啓蒙がとても大事だと考えています。

発行体側もぶれずにやっていただきたいですね。

そうですね。そこの目線があっていくと、株価が評価され、もっとIRも頑張ると思うので。

ただ、データも出ていますが、そこの感応度が本当に高くないですよね。同じ利益が出ている会社でも、無形資産への評価の在り方が全く異なったりするので、バリュエーションもだいぶ差があるということもあります。例えば、PBRの日本平均と海外平均を比べると全然違うんです。それが冒頭の企業価値の考え方にすごく深く関わる部分だと思います。

その啓蒙の仕方はなかなか難しいですよね。

岸田政権が新しい資本主義を打ち出されていますが、ベンチャーキャピタルとしてもどういう想いで取り組んでいるのかというところはしっかりと伝えていきたいと思っています。

起業家にとって、良い投資家と出会えるという縁はとても大切になりますね。真っ当なことを信じてやり切れる起業家もいますが、やはり、会社の進捗によっては考えがぶれてしまうことが多いと思います。

起業家も初めはしっかりとした軸を持っていたとしても、常に不安と隣り合わせですからね。そういう中で投資家からあれこれフィードバックばかりを受けてしまうと、どんどん萎縮してしまいますので、ベンチャーキャピタルとしての動きもしっかり考えていかないといけないと思っています。

隣に信頼のおけるCFOがいると、まただいぶ異なりますね。

本当にそう思います。

経営・事業に強くコミットしてくれるCFOがいれば、二人三脚でぶれずに乗り切れる面も多いと思うので、この辺りも大きなテーマかもしれません。

そうですね。起業家のみならず、投資家の立場から見ても、とても心強いと思います。

本日はお忙しい中ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

株式会社ジェネシア・ベンチャーズ株式会社ジェネシア・ベンチャーズ 代表取締役/ ジェネラル・パートナー 田島 聡一氏

大阪大学/工学部卒。三井住友銀行にて約8年間、個人向けローンや中小・大企業融資、シンジケーション・債権流動化等、さまざまな形態の資金調達業務に関わる。2005年1月、サイバーエージェントに入社。同社では、事業責任者として金融メディアの立ち上げに参画し、同事業を上場企業に売却。その後、サイバーエージェントの100%子会社であるサイバーエージェント・ベンチャーズ(現:サイバーエージェント・キャピタル)にて、ベンチャーキャピタリストとして投資活動に従事し、多数の企業のIPO・バイアウトを実現。2010年8月以降は同社の代表取締役として、投資エリアの拡大や8ヶ国における投資戦略の策定及び全案件の投資判断に深く関与することで、同社をアジアで通用する数少ないベンチャーキャピタルにまで成長を牽引。日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の副会長として業界全体の活性化にも注力。
2016年8月に株式会社ジェネシア・ベンチャーズを創業。