サンライズキャピタル株式会社 代表取締役社長 清塚徳氏(2/2ページ)

投資家の立場から見た理想のCFO像や、CFOと管理部長の違いなど、「投資家からみるCFOの在り方」というテーマで、様々な見解をお話しいただく専門特集。
サンライズキャピタル株式会社 代表取締役社長 清塚徳氏に、日々の活動の中で感じる率直な思いを伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 代表取締役 柳橋貴之
御社に相談に来られるケースは、ダイレクトが多いのですか。
はい。他の方からお話を聞いたので、是非うちもお願いしますということが多いです。5号ファンドの1号案件もまさにそうで、先方からご相談をいただきました。しかも以前ご支援させていただいた別の企業の創業者がアドバイスに入っていらっしゃいます。
そういったご縁が繋がっていくのですね。
ありがたいですよね。
ちなみに、「会社の価値を上げる」ためのCxOの理想の配置について、清塚さんのお考えはいかがでしょうか。
弊社の支援先ですと、CxOと呼ばれる方がおらず、(創業者である)CEOが全てを担っているというケースがほとんどです。そのため、まずはCFOを外から探して招聘します。
まずはCFOなのですね。COOはいかがですか。
売上100~200億くらいの規模ですと、CEOが一気通貫でCOOも担っている会社ばかりです。創業者が若干引退モードで会長的な立場になられている場合は、COOを引っ張るケースもありますが、やはり優先順位はCFOが上ですね。CFOはどうしても必要なので、CFOとその下のチームは先に作らなければなりません。
CFOに着任していただいた後、人事、経理、法務などの管理部門の方々や、情シスなどITの部長を採用します。

清塚さんが思う「理想のCFO」のスキル、考え方、人柄などについて教えてください。
スキルでいえば、数字まわりの強さが第一だと思います。財務面もそうなのですが、経理でいえば、単に出来上がった決算書をレビューするだけではなく、ご自身が伝票処理などの日常作業から精通されていることも含めて対応をいただけるということが重要です。それに加えて人事、コンプライアンス、内部統制、ITなどのご経験もあれば尚良いと思います。
入社後まずどのようなことから取り組んでいただくパターンが多いのでしょうか。
まずは決算早期化と精緻化です。「2ヶ月後にならないと決算が見えない」ということですと何も手を打てなくなるので、それを最初は翌月の後半くらいにはなんとか決算を締め、そして月中、5営業日以内…と早められるようにしていかないと、上場は見えてきません。
もう一つがリスクを見える化するということも含めて、計画をしっかり作っていただくということです。中長期計画を、年次の計画に落とし、そして月次に落とし、三表でどういう目標になっていてそのパフォーマンスがどうなのかというように。いわゆる予実管理ですね。そしてさらに、KPIもしっかりと管理できるようになれば、だいぶ良いところまできたなということになります。
とても重要なことですね。
さらに会社を代表して、銀行、証券会社、証券取引所、投資家等々に説明できるかどうか。営業や戦略は社長がお話されれば良いと思いますが、それを反映したところの数字やリスクについて、会社を代表して説明できる能力が求められますよね。CFOになる方がそれまでのキャリアで同じようなご実績をお持ちだと、業種や企業規模が異なっていても非常に安心できます。
財務会計、管理会計、加えて外向けの対応。社長を前に出しながらも事務方を全て担える方だと安心ということですね。
単に守りだけではなく、資金繰りなどもリードできると良いですね。この新プロジェクトはどうか、新しい設備投資の負担はどうか等々、バランスよく見ていただいて「是非攻めてください」と、むしろ社長の背中を押すという役割も時には必要です。「この金額であれば、万が一失敗しても会社が傾くことは無いので、自信をもって攻めてください」と。社長はいろんなことで悩むので、そのときの壁打ち、ディスカッションパートナーになれるくらいの方だと、高度なCFOだと思います。
中には「社長を止めるのが役割だ」という方もいらっしゃると思いますが、背中を押すことも大切ですよね。
両方必要だと思います。止めることも当然必要ですが、押すことも重要です。
守りと攻めのバランスですね。
そうです。これは社外取締役にも当てはまると思うのですが、日本では止めることばかりをやる方が多いと感じます。買収しましょうとか、海外へ進出しましょうとか、新規事業やりましょうとか、社外取締役が積極的に社長や経営陣へプッシュする役割も担っているはずです。
おっしゃる通りですね。株主である御社からも「社長、ここは攻めたほうが良い」といったアドバイスもされるのでしょうか。
もちろんです。ただ、その判断の前提となるのがやはりCFOが分析したバランスシート、キャッシュフロー、資金繰りです。例えば、今回10億円を投資するかもしれないという場合に、まずはCFOとしてどう思うのかを教えていただき、我々はどう思うのかといったことを社長と三者間で協議し、決めていくというのが理想形だと思います。

CFOの役割について伺ってまいりましたが、CFOと管理部長との違いについてはどうお考えでしょうか。御社のご支援先だとまずは両方できる方が必要というイメージでしょうか。
兼務の場合もありますし、大きな組織になれば、CFOとは別に、部長を置くケースもありますよね。
違いで申し上げると、部長は、CEOやCFOの戦略を充分に理解して、それを自分の部隊に展開し、要求している水準に提供していくという役割だと思います。
CFOは、経営の観点からこういうものが必要ですと、部長を通じて各セクションの方々に浸透させていくこと。そして外部に対しては、会社を代表して、少なくとも数字に関しては説明しきれなければいけないと思っています。
部長がここまでできれば理想的ですが、少なくとも内部での正確な実務を担っていただく必要はあると私は思います。
株主としてCFOに求めることはありますか。
若干センシティブな話になりますが、これまでオーナー一人で引っ張ってこられている会社は、部下に対してきつい印象を与えてしまうケースもしばしばあり、一歩間違えればパワハラに受け取られかねないようなこともあります。
CFOには、内部統制の一環として、社長がハラスメントをしないように歯止めを効かせる、またキックバックなどの不正が起きないような体制を作っていただくということも一つのアジェンダとしてあります。
そのあたりは、CFO候補の方にジョインいただく際にお話はされているのでしょうか。
もちろんしています。
また、CFOの方に対してもバックグラウンドチェックなどを実施させていただくこともあります。ある程度は、面接で善し悪しが分かりますが、評判を聞きにいくこともありますね。
あとは、お金を扱われる立場なので、ご自身が襟を正していただいた上で、社内にも正していただけるといったコンプライアンス意識は、特に上場を目指すならば非常に重要になってくると思います。
大切なことですね。お話は変わりますが、御社のポートフォリオで上場を目指す企業の割合はどのくらいありますか。
5割くらいです。
半数ですか。
そのうち更に半数が上場の承認をとり、実際に上場しています。

素晴らしいご実績ですね。最後に、投資家、株主のお立場としてCFOに期待したいことがもしあればお聞かせいただけますか。
イメージとしては、車に例えると、創業者・CEOはドライバーシートに座りアクセルを踏んでいく方だと言えます。ところが、まだ未整備な状態で創業者が走らせている車はメーターが無い状態です。どれくらいスピードが出ているのか、規制の中で走れているのか、エンジンはちゃんと動いているのか分かりません。
そこでメーターの役割が必要だと思うんですよね。アクセルを踏むことも、ブレーキを踏むことも重要です。メーターとアクセルとブレーキの加減をしていただける方が、私はCFOなのかなと思っています。
絶妙な例えですね。
我々は後部座席に乗っているような状態なので、しっかりとした方がいらっしゃると、後ろから見ていても安心ですし、乗っていても乗り心地が良いですよね。社長が積極的にアクセルを踏むけど、どれくらいスピードが出ているか分からないとか、ガソリンがどれくらいあるのか分からないと、どんどん心配になってしまいますからね。
CFOは、社長に対する指南役のようなイメージですね。
はい。社長に「もっとアクセルを踏んでください」ということも役割の一部だと思います。なぜならばガソリンはまだこのくらいあるし、スピードを出せる余地はこのくらいありますと。
そうですね。他に、御社とお付き合いをしていく上でのメリットなどはありますか。
CFOの皆さんが我々とお付き合いいただく一つの特殊性としては、新たな投資先でもCFOに就いていただけるということでしょうか。
我々は常に投資をしていますので、また新しくCFOが必要になります。
最近増えているのが、「以前あの企業でご活躍いただいたので、またこちらの企業でCFOをお願いしたい」というケースです。とても増えてきましたね。
素敵なお話ですね。
以前のオーナーがそのCFOの評判を教えてくださり、次の会社の創業者にご連絡いただけるということも増えています。良い循環ができていると思います。

CFOの方にとっても、御社のご支援先ということで安心感を持たれると思いますね。
ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいですね。
CFOとして入られる方々にとって、最大の心配はオーナーとの相性だと思います。どちらが良い悪いということではなく、個人的な相性だけで辞めざるを得ないということはあります。ファンドのような中立的な人間が入っていると客観的かつ公平に見られるので、CFOにとっても働きやすくなるということで、ファンドの投資先は意外と人気があります。
また、CFOの方としても、我々のビヘイビアーを見ていらっしゃるので、どういう要求をするのか理解をされていて、次の会社でもそれがすんなりとできてしまうと。こういう関係性なので、お互いに居心地が良いのです。
Win-Winの関係がいろいろなところで成り立っていますね。
基本にあるのは、人間としての信頼関係と、お互いがベストを尽くしてきた実績かと思います。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともありますが、一緒に戦ってきた戦友のような感覚なので、また一緒にあの人たちと戦いたいなという思いになっていただけていると、我々も嬉しいなと考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。

1985年より株式会社三菱銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)に16年間勤務。うち10年間は日本や東南アジア諸国にてM&Aアドバイザリー業務や、シンジケートローンアレンジ業務に従事。2001年より、カーライル・グループのディレクターとして主に消費財、ヘルスケア、化学、製造業等を中心とした企業のバイアウト投資に従事。2006年4月サンライズキャピタル株式会社入社。サンライズキャピタルの立ち上げに参画。