【インタビュー】グリー株式会社/大矢俊樹氏 - 子会社社長から時価総額3兆円企業の取締役CFOへ。揺るぎない情熱と大切にした価値観(4/4ページ)
カリスマ創業者が去り、大きな転換期を迎えたヤフー株式会社にCFOとして参画。再び時価総額を3兆円台まで回復させた宮坂体制を、副社長兼CFOとして支えた大矢俊樹氏。激動の6年間を経て、現在、グリー株式会社の取締役として全体を牽引する同氏のキャリアストーリーを伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 代表取締役 柳橋貴之
ちなみに、ヤフーさんで、CFOから副社長に役職が変わられた際は、先ほどのような気持ちの変化はあったのですか?
そこは特に無かったですね(笑)。 役割も大きく変わっていなかったので。
宮坂さんとの関係性も変わらなかったのでしょうか?
宮坂さんとの関係性は最初から最後まで変わらなかったですね。 僕は割とはっきり意見を言うタイプで、意見が違う時はあまり譲らないんですよ。 宮坂さんとしても、それで良しとしてくれていたので、とてもやりやすかったです。 意見が食い違って、最後まで折り合わないっていうことが無かったですからね。 最後の目指すゴールは一緒で、それぞれアプローチが違うというか。 まぁ、何かあれば、だいたい話し合えば解決していました。
宮坂さんの社長退任(会長就任)と同時に、大矢さんの副社長退任のリリースが出ました。
そうですね。それなりに重たいポジションで、毎年劇的な変化があるということを考えると、自分の中ではどこかで線を引かなければと思っていました。 5年目くらいからですかね。具体的に考え始めたのは。 社長も変わるタイミングなので、6年で自分も退任をしようと。
退任をされてからのことは考えていたのですか?
退任を決めて、今後の人生をどうしようかと、いろいろと考えましたね。 正直、ちょっとした解放感もあったので、それにしばらく浸りながら、いくつかの選択肢で考えていました。
具体的には?
一つは、社外役員や外部顧問などのオファーをいくつか頂いていたので、それに応えつつ、個人投資などもしていこうかなと。 もう一つは、(必要としてくれる先があれば)また事業会社で頑張ってみようかと。 具体的には、このいずれかでしたね。
その中で、グリーさんから声が掛かったということですね。
ちょうど、どうしようかなと思っていた時に、山岸さんから声が掛かって。 いろいろと話をしたんですが、僕のことを必要としてくれていて。やはりこういう話を大切にしないとって思ったんですよね。
流れを自ら断たないということですね。
そうですね。3月で正式にヤフーを退任して、ゴールデンウイーク明けに、田中や他の役員とも会って。そこでしっかりと気持ちを固めました。
グリーは、この10年の間に大きな変化を乗り越えてきています。
業績面もそうですけど、デバイスをシフトして事業も転換してきています。 様々なことを経て強い組織にもなっていて、まだまだ十分にポテンシャルがあると。そして、この変化も面白いなと感じたんですよね。
当然、インターネッの仕事を20年以上しているので、会社が肌に合うということもありましたね。
あとは、グリーはヤフーとも協業関係にあったり、良い関係性だったということもあります。直接バッティングするような先は避けたかったので。
「CFOはもういいかな…」という気持ちは無かったのですか?
特に無かったですね。同じことをやるのは、同じことをやることに価値があると感じているので。 その価値って、結局は自分で決めることじゃないですか。こんな人生を送れる人もなかなかいないのでは?という思いもあるんですよね。
欧米にはずっとCFOをしている人って結構いるじゃないですか。僕の尊敬する、米Yahoo! Inc.のKenneth Goldmanだって、35年くらいずっとCFOをやっていましたからね。知見なども含めて、さすがだなと思うわけですよ。
僕はCFOという括りでいうと、たかだかまだ13年くらいしかやっていないので、このままCFOを続けるという選択は、それはそれで面白いと思うんですよ。
自分が必要とされている仕事も、CFOという職責にはまだあるなという思いもあるので。
グリーさんに参画するにあたって、意識したことなどありましたか?
グリーにはグリーなりの、これまでの歴史があって、しっかりとした基盤があるので、この基盤をさらに大きなものにしていこうということですね。
田中さんとの関係で意識されていることは?
現在、メディアのサービスなども田中が事業部長として動いていて、そういった姿を見ると、サービスとかプロダクトへの集中力がものすごくあるんですよね。
田中は、もともとグリーというサービスを一人で作った人なので、思いは計り知れないほど大きいですよ。ここまでグリーが成長してきたのを見ても分かるように、一つのプロダクトが生み出す価値は、何にも代え難いものがあるので、だからこそ、田中もそれにできる限り集中をしたいという思いがあります。
裏を返せば、それ以外のことはなるべく任せられる人に任せたいという思いがあって、それは僕自身も意識をしている点ですね。
大矢さんの参画は本当に大きいと思います。
できる限りのことをやりたいと思っていますよ(笑)。
最後に、大矢さんが普段大切にされていることなど、何かあれば教えて下さい。
まず一つは倫理観ですね。人としての正しさみたいな。これは、特にコーポレートに身を置く者としては絶対に持っておかないといけないものだと思うので。
それと、執刀力ですね。やり抜く力は本当に大切にしています。コーポレートの仕事は、「チャレンジしたけど、できませんでした」が通じないので。やって当たり前で、できないと大きな減点ですから。とにかくやり抜かないとという思いは、常に持っています。
最後は、チームワークですかね。何かと組織が縦割りになりがちですけど、基本的には何事もチームで仕事をするということを大切にしています。
グリーさんのチームはどうですか?
これまで様々なことを経験している会社なので、チームは非常に強いんですよ。少し余裕があるんじゃないかっていうくらい素晴らしいチームなので、もう一度急成長をしても十分に戦えるチームだと思いますね。
個人として、今後の抱負などございますか?
大それたことは言えないですが、できるところまでは現役で。必要とされる場所で最大限のパフォーマンスを出すと。そういった存在でい続けたいなと思っていますし、それがグリーという会社にとってプラスになっていったら嬉しいなと思っています。
今後もグリーさんがとても楽しみです。
是非とも、ご期待ください。