【インタビュー】株式会社ビザスク - 共感するミッションのもと成長を続けたチーム。辿り着いたのは必然的なIPO。(2/3ページ) - Widge Media

【インタビュー】株式会社ビザスク - 共感するミッションのもと成長を続けたチーム。辿り着いたのは必然的なIPO。(2/3ページ)

記事紹介

2020年3月に東証マザーズに上場を果たした株式会社ビザスク。「知見と、挑戦をつなぐ」というミッションのもと、ビジネス領域に特化した日本最大級のナレッジプラットフォームを展開。IPOから一年が経過した今、資本政策室長としてチームを牽引した宮城さん、経理や総務を中心とした実務面を支えた原さん、内田さんに、IPOの舞台裏や上場後のお話を伺った。キャリアストーリーからIPO実務まで、リアルな内容が満載。
※インタビュアー/株式会社Widge 利根沙和

IPO準備チームの体制構築の過程と人選におけるポイント

宮城さんはコーポレートグループがまだない段階で入社されたと思うのですが、そこからIPO準備を進めていく中で、どのようにチームを作っていったのでしょうか。

宮城:入社後、それまで税理士にお願いしていた経理業務を内製化したり、IPOで必要になる株主総会や取締役会の議事録の整備、さらに主幹事証券会社や監査法人の決定なども行いました。その後、CFOとして瓜生(現在はCOO)が入社したので、それからは瓜生と二人三脚で管理系のことを進めて行きました。2018年の夏には現CFOの安岡が入社し、さらに2019年の2月に原、7月に内田が加わって、今のコーポレートグループの形が出来上がりました。     

業務の分担はどのように行っていたのでしょうか。

宮城:IPOの業務を直接的な仕事と間接的な仕事で分けたとき、直接的な仕事は私が担当しました。具体的には主幹事証券とのやりとり、証券審査や証券会社のデューデリジェンス対応、監査法人対応、東証の審査などの窓口ですね。

審査を受ける際には、東証や証券会社から質問や疑問が山ほど来ます(笑)。それを理解して社内向けに翻訳し、上司である安岡に伝えたり、関わる事業部に確認したり、必要に応じてルールを作り直したり。会議を主催して説明する内容を精査したりもしました。外部と内部の情報のハブですね。

その一方で、KPIなど数字の整理や、月次決算、年次決算といった実務的なところは、私1人では手が回らなくなっていたので、2人が入社してしっかりと固めてくれました。これができないと当然IPOもできないので、直接的な部分と間接的な部分をそれぞれ担当しながら共闘していたというのが当時の状況です。

上場の1年前にすごく強力な助っ人のお2人が入ってきてくださったわけですね。お2人とも、前職で小さな規模の会社で責任を持ってやってこられたのが大きいのでしょうね。

宮城:おっしゃる通りだと思います。採用する際に考えたのが、教育に時間がかけられないので未経験者では難しい。だからといって経験があればそれだけでいいのか、というとそれも違うと思いました。ベンチャー特有の整っていない感を楽しめて、なおかつIPOの準備で必要な対応を自ら学びつつ、バランスを取りながら実務を進めてもらえる人が必要でした。

この観点で採用するのはとても難しいのですが、2人とチームが組めて本当に良かったと思っています。

素晴らしい採用の実現ですね。そこは本当に難しいんですよね…。そういった意味では経理畑には力強い方がそろった印象ですが、労務面はいかがでしたか。

宮城:勤怠管理を含めた労務面の整備はもちろんそれまでもやっていました。端羽は労働環境をとりわけ大事に考えていますので。ただ、主幹事証券から全く指摘がなかったわけではありません。当社はリモートワークもわりと緩やかにスタートしていましたが、その場合の勤怠管理は自己申告制で、業務スタートと終了時に勤怠管理のシステムをクリックする。でも、それでは残業について過小申告か過大申告のどちらかが起きているかもしれない、そういうことがおきないように、実際の稼働分だけ過不足なく勤怠をつけるよう周知徹底したり、基本的なことですが勤怠をダブルチェックする体制を作ったりしました。     

この1年多くの会社がリモートワークの導入に苦労されていますが、一足先に取り入れていたんですね。

中途参画のメンバーが即戦力で活躍できる土壌とは

IPO準備の過程で、想定外で苦労したことややっておいて良かったこと、また心がけていたことなどがあれば教えてください。

原:取締役会や株主総会に関する業務は前職で経験があったので、招集の手続きや登記の方法などは理解していました。とはいえ、IPO自体が初めてでしたし、各会議でのIPO特有の決議事項の内容や手法、株式関係の実務も含めて前職で経験したことがないこともたくさんありました。

例えば新株予約権がそうです。ビザスクはこれまで13回分、新株予約権を出してます。年1、2回発行してるペースですね。発行するたびに、行使条件、特に行使価額をどうするかが論点になり専門家と議論しますが、会社が急成長をしているので株価の上昇も大きく、行使価額が高くなりやすい業況です。一方で、株価が倍になったから新株予約権の行使価格もそれに応じて高くなる、と単純に考えると実務上はとても楽ですが、新株予約権のメリットは最大化されない。金融理論や税務処理の観点からもクリアで、かつ、メリットを最大化できる設計を考えました。

なるほど。さじ加減が難しかったのですね。原さんは以前お勤めだった会社と比べて業務の範囲も、また責任の度合いも大きくなったかと思いますが、その中で大切にしていたポリシーはありますか。

原:IPOとは関係ないかもしれませんが、管理の仕事の中でも割と私は総務関係の仕事が多かったので、従業員はお客さまということを常に意識してやっていました。また、5月に公開会社として初めての基準日を迎える株主総会を実施する予定ですが、株主総会は会社にとって一番重要な意思決定機関なので、自分がしっかりやらないと会社に重大なリスクをもたらしかねないと、責任感を持って今まさに取り組んでいます。     

IPOはどうしても社外的な面が注目されますが、社員にとっても大きな変化を迎えていく中で、コーポレートグループが「従業員はお客様」という考えで仕事をするのは会社にとってとても重要なことですね。内田さんは苦労した点や、自分の力や経験が発揮されたと思う点はありますか。

内田:私は経理としてキャリアアップをしていく中で、有価証券報告書を作成することを個人的な目標として持っていたので、その経験ができた点は良かったです。また、事業成長に伴い取引の数も増えていく中で、IPOも控えたタイミングでそこの仕組みづくりを担当させてもらえた経験もとても大きいですね。自分が望んでいたやりがいのある環境に入れたなというのはすごく感じています。経理経験者といっても売上を計上するまでのプロセスや使用しているシステムは会社によって異なるので、最初の1年はキャッチアップが大変でしたが。

IPO準備の後半から参画されて大変だったこともあると思うのですが、とてもスムーズに前向きな気持ちで業務に取り組まれているのが印象的です。

内田:社風のおかげかもしれませんね。ビザスクはいい人がすごく多く、新しく入ってもウェルカムな雰囲気で迎えてもらえるし、情報の偏りがないように共有してくれる。また、先程原が言っていたように私も社員がお客さまということを心がけていますが、逆に社員も管理業務に対して理解が深いです。会社によっては営業が強いなどのパワーバランスがあるところもありますが、ビザスクはフラットな環境で仕事がやりやすいですね。

すごくいい社風ですね!内田さんが大切にしているモットーはありますか。

内田:私は常に改善することを心がけています。気づいたことはすぐにやってみることで、より良く改善できるように取り組んでいます。昨年、経理に新しいメンバーが増えましたが、会社が大きくなるにつれてメンバーもさらに増えていくと思います。経理が初めての人、知識が少ない人でも正確に滞りなく経理業務を進められるような仕組みを作ることが今の目標です。