【インタビュー】ギークス株式会社/佐久間大輔氏 - IPOはより良い会社作りの近道。その先にある企業の存在価値と未来を創造するCFOの姿とは。(3/3ページ) - Widge Media

【インタビュー】ギークス株式会社/佐久間大輔氏 - IPOはより良い会社作りの近道。その先にある企業の存在価値と未来を創造するCFOの姿とは。(3/3ページ)

記事紹介

2019年に東証マザーズに上場し、2020年には東証1部に市場変更を果たしたギークス株式会社。現在は、プライム市場へのステップアップも終え、2025年には売上高100億円を目指して、まさに躍進中。そんなギークスのIPOの立役者であるCFOの佐久間大輔氏。安定した事業運営や社内の一体感の醸成など、「より良い会社」として必要なものをIPOの準備過程で作り上げ、「IPOはメリットしかない」と語る佐久間氏にお話を伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 利根沙和

メリットしかないIPO…全ては「良い会社作り」のために

皆さんがIPOを自分事にとらえられる環境があったのですね。IPOを達成した率直なご感想を教えてください。

IPOはメリットしかないと感じています。IPOは「良い会社作り」だと曽根原も言っているのですが、まさにその通りだと思いますね。IPOするということは、すなわち、コーポレートガバナンスや内部管理体制をしっかり整えておかなければいけないということです。しかし、それには規程を作ったり、社内整備をしたり、開示の体制を整えたりと膨大な作業が必要ですし、審査の過程では証券会社からもさまざまなご意見をいただくことになるわけです。時に耳が痛くなることもあるでしょう。しかし、それらは全てより良い会社になるために必要な改善だと捉えているので、IPOを目指すこと自体は、どの会社にとってもすごく良いことだと思っています。

実際にIPOを達成したことで感じられている具体的なメリットはどのようなところですか。

分かりやすいところでいうと、採用面ですね。最初70人だった社員数も今では370人くらいになりましたが、当社に興味を持って来てくれる人の層が広がってきていると感じています。あとは先ほどお話した、予実の精度を高めることができたことです。IPOを目指していたからこそできた、思い切った戦略変更でした。IPOを目指していなかったら、おそらく予実の精度をそこまで求めることもなく、ゲーム事業の戦略変更にまでは至らなかったのではないかと。そう考えると、今の安定した事業運営や成長もなかったかもしれません。

また、海外子会社の管理体制についてもしっかりと見直すきっかけとなりました。当時、他社で海外子会社に経理の不正が発覚し話題になっていたことで、フィリピンに子会社がある当社の審査においても影響を受け、かなり多くの質問をいただきました。時勢によって東証が気にするトピックというのがあるとは思いますが、その時々のテーマ性にも対応することでより良い会社として機能できるようになりますし、我々の場合は内部統制への意識がさらに高まったので良かったなと思っています。

昨年には中期経営企画「G100」も発表され、現在はさらなる目標に向かって躍進中でいらっしゃいますね。投資家のみならず、社員の皆さん1人ずつに経営課題を共有したいという思いをもっていらっしゃるのだなと、御社の経営陣の強い意思を感じました。

ありがとうございます。この中期経営企画「G100」は、仰る通り社外だけでなく、社内に向けたメッセージという意味合いも強いです。2025年3月期に売上高100億、営業利益25億、技術リソースシェアリングプラットフォーム国内No.1を目指す、といった目標を掲げています。IPOを経て、これまでの企業成長から導き出された数字でもあり、成長目標でもあります。自信をもって今、チャレンジをしているところです。IPO準備中は、私たちの経営への想いや目標について、数字面や戦略面含め社内外に共有する場があったのですが、IPO後はそういったものを共有するタイミングがなかなか無かったので、このG100をきっかけに改めて社内一丸となって成長を遂げていきたいですね。

「攻め」も「守り」もできる未来を創造するCFOに

会社としては今後どのようなことを目指していますか?

会社としてはITフリーランスの新しい働き方の認知や支援をもっと広げること。そして、我々の企業価値を向上させることを目指しています。業績の面でもそうですし、プライム市場で求められているガバナンス体制を上場会社としてしっかり高めていきたいですね。また、新たな取り組みとして、ベンチャー投資プログラムをスタートさせています。IT人材事業とシナジーのある会社や、私たちがまだ取り組んでいない分野にチャレンジされている会社などが投資先です。曽根原には若い経営者を支援したいという思いがあり、私もベンチャーキャピタルの出身ですし、力になりたいという思いがあります。これからの未来を創造する上で、協力できることを探っていこうと試みている最中です。

これまでのご経験もフル活用できる素晴らしい試みですね。管理部門チームとして、また佐久間さんご自身としての目標はありますか?

最少人数からスタートした管理部門チームですが、今ではだいぶ人数も増えました。組織体制を整え、一人一人がプロフェッショナルな意識をもって、事業部門をブーストできるようになってほしいと思っています。しっかりと事業部門を支援し、事業部門から頼られる管理部門を目指したいですね。

個人としては、未来を創造するCFOになることが目標です。CFOは、経理周りを中心に過去の数字を踏まえてしっかり管理することも必要ですが、戦略を立てどの分野に投資をしていくのか、先を見極めながら企業価値をいかに高めていけるかも重要。そこをしっかり意識できるCFOを目指していきたいです。未来を創造するというと、「攻め」のように感じられるかもしれませんが、「守り」も大切だと思っています。コロナの感染が広がった当初は、何が起きるか分からない状況でした。業績が悪化するような事態も想定して、万が一の場合には即座に借入で調達ができるコミットメントラインを持つようにしました。攻めだけでなく、このような守りも意識し、リスク管理をしながら、事業成長を目指していきたいと思っています。

会社としても個人としても、これからの未来を創造しようとされている姿、素敵ですね。視座高く、見通し広く、先々まで見据えて取り組まれていることに大変感銘を受けました。これからの更なるご活躍を期待しております。本日は貴重なお話をありがとうございました。

ギークス株式会社取締役CFO 佐久間大輔氏

大学卒業後、1999年4月に日本アジア投資㈱へ入社。13年にわたりベンチャーキャピタルにて企業支援に携わったのち、2012年1月にクルーズ㈱に入社。
その後2015年1月にギークス㈱に経営企画本部長として参画。現在は、ギークス㈱取締役CFO。