【インタビュー】ウェルスナビ株式会社/廣瀬学氏・竹内織絵氏ーIPO後を見据えた持続的成長可能な組織の作り方~投資家との誠実な対話を続けることで得られるものとは~(3/3ページ) - Widge Media

【インタビュー】ウェルスナビ株式会社/廣瀬学氏・竹内織絵氏ーIPO後を見据えた持続的成長可能な組織の作り方~投資家との誠実な対話を続けることで得られるものとは~(3/3ページ)

記事紹介

2020年12月に東証マザーズ(現 東証グロース)に上場したウェルスナビ株式会社。資産運用支援のフィンテック企業として初の上場であることに加え、上場時の時価総額が776億円という大型上場。さらには、海外投資家比率が旧臨報方式で過去最大となる50%となったことから注目を集めた。そんなウェルスナビでCFOとしてIPOの指揮をとってきた廣瀬氏。そしてIPO後に経営企画部に加わり、IR戦略を担っている竹内氏。現在も成長し続けるウェルスナビのIPOを見据えたファイナンス戦略からIPO後のIR戦略について、お二方にお話を伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 利根沙和

IPOを目指すスタートアップ企業へ

ここまで色々なお話を伺ってきたのですが、今後御社のように上場を達成し、持続的成長可能な企業を目指しているスタートアップ企業や、今まさにIPOをされた直後の企業も含めて、何かアドバイスがあればいただきたいです。

廣瀬:繰り返しになってしまいますが、既存株主や上場後の株主となる機関投資家としっかり対話することが重要だと考えています。株主や投資家に対してあまりよく見せようとしすぎずに、無理なく自分たちの現状を伝えていくということ。それによって得たフィードバックを真摯に受け止め、会社を改善して行くことが大切だと思います。未上場フェーズだと、VCから出資をしてもらっている場合が多いと思いますが、VCとの対話を重視するだけではなく、上場後の株主となる機関投資家との対話から得られるものは非常に大きいです。彼らが自分たちをどのように評価してくれているのかを知り、現状についてフィードバックをもらえるかどうかはとても重要だと思うので、主幹事証券に相談しながら、できるだけ早いタイミングから接点を持つことをお勧めします。

あとは、よく言われることですが、自分たちがこれから経験することを先に経験している、前を走っているスタートアップ企業から、色々なアドバイスをもらうのが良いと思います。これから課題になってくることや、これから何をするべきなのかなど、我々も色々教えていただいて、それを活かして成長することができたと思っています。

ありがとうございます。竹内さんはIPO後もスピードを落とさずに成長し続ける企業というのは、前職でのご経験も含めてどのようなポイントがあると思われますか?

竹内:IPOに向けた準備というのは、すごく大変なプロセスであるからこそ、結果的に会社が組織として強くなるのだと思いますが、当社の場合、上場のプロセスを通じて各ポジションに優秀な人材を採用もしくは専念してもらうことができたというのが大きかったのではないかと思っています。本来コーポレートの業務量は上場後の方が増えるはずなのですが、そこを大幅に人数を増やすことなくできているというのは、それだけ組織力があがっているということ。そしてそれは優秀な人材が揃っているからこそだと、実際に中で働いていて日々感じています。先ほど廣瀬も、兼務解消や採用に関しては時間を割いたと話していましたが、上場準備をする中で、そういった形で会社を強くしていくというのも1つのポイントではないでしょうか。

そうですね。組織として足りているところと足りていないところを冷静に見極め、必要なところに適切な人材を登用する。シンプルなことですが、実際にはなかなか全てのポジションで上手く見つけることは難しいようにも思います。投資家の方々との取り組みについてはいかがでしょうか?

竹内:今まで上場企業に投資する投資家と、非上場の会社に投資する投資家は分かれていた部分があったと思うのですが、最近その垣根が薄れてきているように感じています。今まで基本的に上場企業にしか投資しなかったような会社が、上場前の会社にも投資するようなケースが増えているので、上場前に色々な幅広い投資家と会い、ディスカッションをすることができるようになりました。上場後の投資家層からフィードバックをもらうことは、経営面でも上場準備に向けた面でも大きなメリットです。

確かに近年では旧臨報方式で海外投資家の比率を増やすことを目指すIPO準備企業も珍しくなく、その海外投資家比率も年々どんどん増えていますね。グローバルオファリングをせずに海外投資家にそこまでリーチできる可能性があるのかと、どんどん時代が変化しているのだなと感じます。

廣瀬:旧臨報方式では、我々が上場した当時、我々の海外機関投資家への販売比率50%というのが最大だったのですが、その後最大比率の記録も塗り替えられていますし、社内の人的リソースも見ながらグローバルオファリング、旧臨報方式の選択をするのが良いと思います。

急激な変化ですよね。でもそれもきっと、ウェルスナビさんの当時50%比率という記録があってこそ。そこを塗り替えていくことで徐々に歴史を作っているのだなと思いますし、そこの一端を担っていらっしゃったということは素晴らしいことだと思います。

廣瀬:ありがとうございます!

「働く世代に豊かさを」ミッションの実現に向けて

最後に、会社として、チームとして、そして個人として、今後の目標やビジョンなどあれば教えていただけますか?

廣瀬:会社としては、株式市場での評価を今後もしっかりと得ていきたいと思っています。上場時や上場後に5年~10年など中長期での保有を前提として投資して下さっている投資家の期待に応えるためにも、また、今後の業績も含めた成長を見て新たに投資をしたいと思っていただけるように、しっかりと結果を出し、事業を成長させ続けていかないといけないと思っています。我々の事業を成長させることで、「働く世代に豊かさを」という当社のミッションの実現に繋がっていくと思いますし、1人でも多くの働く世代の「老後2000万円問題」の解決に繋げていきたいと考えています。

チームや個人としてはいかがでしょうか?

廣瀬:コーポレートとしては、会社と同じ目標に向かって、企業価値の向上や事業の成長に貢献できるコーポレートでありたいと思っています。私個人としての目標も、今は基本的に会社やチームの目標と同じになっていますね(笑)。

竹内さんはいかがでしょうか?経営企画チームとして目指されている目標はありますか?

竹内:経営企画は表には出にくい業務もありますが、会社が健全に運営されていくためには必要不可欠。とても重要な役割を担っているということを認識しながら、チームとして安定的に任務を遂行していくことを目指しています。また、IR活動においては、外部の機関投資家と繋がることができるので、投資家からのインプットをきちんと経営にフィードバックすることで、会社の成長に貢献していくことができたらと思っています。

個人としてはいかがでしょうか?

ウェルスナビでは、本当に性別に差異なく働くことができている環境なのですが、一般的には、金融業界もIT業界も比較的男性が多い会社が多いのかなと感じています。当社では子育てをしながら働いている女性の従業員も多いので、一層女性が働きやすくなるような働きかけを会社と進めたり、もしくは私自身もロールモデルの一人として、他の方にも何か参考になるような事があれば、そういったものをアウトプットできるようにしていきたいなと思っています。

素敵な目標ですね!いつか「女性ロールモデル特集」として、ぜひお話を聞かせてください。

竹内:機会がありましたらお願いします!

御社もお二方も今後の更なるご活躍を楽しみにしております。本日は貴重なお話を本当にありがとうございました!

ウェルスナビ株式会社取締役CFO 廣瀬 学氏
ドイツ証券株式会社に入社後、資金調達やM&Aアドバイザリー業務に従事。2014年にソーシャルアプリの開発・運営事業を展開する株式会社トライフォートに入社し、取締役CFO兼コーポレート本部長を務める。その後、クレディ・スイス証券株式会社を経て、2019年1月にウェルスナビに参画。早稲田大学大学院商学研究科修了。

経営企画部 責任者 竹内織絵氏
新卒以来、外資系金融機関にて、日本株、特にグロース株の調査・運用に従事。ウェルスナビ参画前は、インベスコ・アセット・マネジメントにてグロース戦略のポートフォリオマネジャーとして、年間のべ300-350社の調査・分析を実施、ポートフォリオの構築・運用に従事。
長らく成長企業を外部から投資家として支援する立場だったが、2021年9月のウェルスナビに参画後は、経営企画の責任者として資金調達・事業計画策定・IR業務を統括。