【インタビュー】ヘイ株式会社/佐俣奈緒子氏 - 採用とPMIの舞台裏から見る、ファンが急増するヘイ独自の文化とは?(3/3ページ)

記事紹介2年前の経営統合で50名からスタートし、2年間で従業員数を200名規模まで拡大した同社。PMIと採用を同時進行で進めた舞台裏、toB企業でありながらファンの多いヘイ社独自の文化はどのように築かれていったのか、「Just for fun」をうたう組織作りの秘訣について様々な角度からお話を伺った。

この記事のトピック
■統合していく過程でどのようなことに主眼を置きながら組織開発を行っていったのか
■現在の同社のコーポレートアイデンティティが生まれた過程とは?
■今後組織開発を行う上で実施したい施策とは?
※インタビュアー/株式会社Widge 舘石鈴央

人事・組織開発部門について

お話が変わるのですが、御社の一般的にいう人事部門は、People Experienceという名前ですよね。珍しいなと思いまして。

以前はEmployee Experienceという名前でしたが、変えました。

Employee Experienceは最近良く聞くようになった言葉かと思いますが、なぜ変えられたのでしょうか。

Employee Experience(以下EX)という言葉自体はアメリカの先進企業が広めていったという言葉だと思うのですが、あんまりemployeeという言い方が個人的に好きではなかったんですね。 日本語だと「従業員」という訳になると思うのですが、「従う」という文字が入っていて、会社と従業員ってなんか距離がある言葉だなと思っていて。 

やっぱり我々が担う範囲は、もちろん社員もそうですし、パートナーやお客さん、株主も含めた外に対するコミュニケーションのExperienceということで考えると、広くヘイに関わる人たちの体験というものを考慮するようなチームでありたいなと思って。 そこで組織を今年変更したりするタイミングでPeople Experience(以下PX)という名前に変えました。

なるほど。社員さんだけではなく、外部のステークホルダーも含めたコミュニケーションのExperienceという感覚、素晴らしいですね。PXという言葉は初耳でしたがそうしたご理由からだったのですね。

ファン作りについて

御社の場合、社員の方を大事にされている印象はもちろんあるんですけど、それだけでなく、周りの方々のファン作りを積極的にやってらっしゃる印象もあります。それを行う意味や思いも教えていただけますか?

例えば採用活動でいうと、たくさんの会社の中からヘイを知ってもらって足を運んでもらったり、面談機会をいただいたり、という方たちとの接点の中で、少しでも「ヘイいいな」と思ってもらいたいですよね。

採用に至らなかったとしても、他社さんでコラボレーションすることがあるかも知れないですし、あるいはオーナーさんとして我々のサービスを使っていただいたり、開発パートナーとして関わったりとか、色んな接点があると思っているので。採用活動一つとっても「一緒に働くことだけ」をあんまりゴールとしていません。

とても大事な考えですね。

そもそも、2年前に会社を統合したとき、ヘイという会社は採用市場において全く存在感が無い会社でした。なので、その認知をどう引き上げるか、ヘイっていう会社があって、どういうことをしていて、採用してるぞっていうメッセージを出す上でも、印象付けるための施策というのはいくつも取っていましたね。

自分たちのロゴを使ったパーカーやTシャツとかをSTORESで販売する、というのもその一環です。

社員の方向けに配布や販売もしているという話は聞いたことがありますが、一般向けにも販売しているんですね。

はい、販売しています。もちろん社員にも配っていますよ。これは社内向けにはアイデンティティを持たせるという機能も果たしてくれますし、「ダサいからパジャマにしよう」ということでもなく、日常的に来てもらえる、つまり会社に愛着を持ってもらえるようになったという部分でも、早期からやっていて良かったことだと思いますね。

因みに、販売しているところで行くと意外と結構高いのですが、それでも買ってくれる人たちがいて、街中で来てくれている人を見ると、すごく幸せな気持ちになりますね。

確かにそれは想像しただけで嬉しくなります(笑)。それだけ意識的なファン作りが功を奏しているということですね。

組織における未来について

ここまで、会社立ち上げ時、つまるところ過去のお話と、今現在取り組んでおられることについてお話をいただきました。ここからは今後のこと未来のことについてもお伺いしたいです。組織の部分でこれからの目標などお聞きしてもよろしいですか?

はい。まずは定量的なところで、社員数を来期、400人まで増やしたいと思っていいます。

倍の人数ですね!

2021年が終わった段階で、それくらいの規模感の組織にしていきたいなというのは、ベンチマークの一つとして持っています。 

併せて定性的なところでいくと、すごく詳細なレベルでのビジョン・ミッション・バリューってまだできてないという認識があるので、400人の組織になったときに、ヘイとしての価値観が全員に浸透した状態にしておきたいという思いがあります。 

この浸透をさせるためにPXとして、あるいは経営としてしっかり時間をかけることが、結局400人の生産性を上げることにも繋がると思っているので、この定量的な部分と定性的な部分の2つを向こう1年間くらいでやっていきたいです。

ありがとうございます。特にビジョン・ミッション・バリューの点はもう少しお伺いしたいです。

冒頭でもお話に出た、「Just for fun」という言葉自体は恐らく全社員が言えますし、それが何かっていうのも言えるんですけど、それをきちんとバリュー定義して落としたりというところは、まだ経営としてちゃんとできていないです。

この規模になってくると、これができていないとどうしても組織もまとまらないなという感覚もやっぱりあるので、しっかりとやらなくてはいけないな……という認識が凄くありますね。

今までは、オンボーディングの中で一人一人に説明をしていってまとまっていた組織だったところから、きちんと経営陣のメッセージとして打ち出していくというやり方に変えていくということですか?

「Just for fun 」 という言葉一つとっても、すごくわかりやすい言葉かというと、正直結構わかりにくい言葉だなと思っています。「Just for funとは何なのか」という解説が必要とされると思うんですね。

人数が少ないうちは、状況ごとに個々に説明や対話ができるんですけど、人数が増えてくると、そこにしっかりと定義付けがされていないと、やっぱり個々のイメージの中がバラバラになったりすることもあるのかなと。同じ言葉でくくるということの重要性が増してくると思っています。特に働き方として、全員毎日が顔を合わせて働く働き方ではないリモートというところも混ぜながら働く上においては、そこのワーディング一つをとっても、しっかり固まっているかどうかというのは大きいなと思っています。

ヘイはこういう会社で、こういうことをカッコイイと思っているとか、だからこういう振る舞いがすごくいいとかなどということを、全員同じ一枚岩の中で描けるというところが組織の強さを決めると思うので。

同じ言葉でも、そこから連想するものが個々で違う、というのは意外にあるものですよね。

ただ定義付けして明示化できたらOK かということはなくて。どうやって浸透させていくかというところが重要だと思っています。

確かに、その点はどこの会社さんでも苦労されているような印象はあります。

まずは大前提として、経営陣の中で本当にそれがしっかりと浸透して、それがマネージャー陣にも伝わることが必要で、それをマネージャーが自分たちのチームに話せることが重要だと思っています。それも「経営が言った言葉」でなく「自分の言葉」として。

なので、マネージャーというものをヘイの中でしっかりと定義して、そこの役割や動き方、あるいは会社に対する理解などが、同じレベル感で揃うというのが来期の重要テーマかなと思っています。

マネージャーの方には、経営陣と現場を、自分の言葉で繋ぐ役割を担ってほしいということですね。

人数も増やしますが、そこのところにしっかりと時間をかけることが結局400人の生産性を上げることになると思うので、これがガチっとハマるかどうかは肝になると考えています。

 逆にそれがズレると、400人いるけど300人分のパワーしか出ない、ということになりかねないですし。400人で、出来れば600人700人のパワーになるような組織にしたいと思っています。

ありがとうございます。

最後の質問

それでは、最後に2つお伺いします。まず一つ目として、佐俣さんにとってヘイという会社はどのような会社ですか?

最高の趣味ですかね。誤解を恐れずに言うと、ただ楽しいからやっている状態で、いわゆる「仕事」みたいな感覚はあんまりないんですよね。 なので、プライベートとビジネスとか、遊びと仕事みたいな分け方をしていなくて、全然飽きずにずっと考えられますし、ずっと動けますし。 

好きなことをやらせてもらっているなという感じなので、ずっと続けていきたい会社だなと思っています。

とても素敵なお話ですね。トップの佐俣さんがそういうお気持ちでおられると、メンバーの皆さんもそういう感覚で働いてもらえそうですね。

基本的に楽しいことをやった方が結果が出ると思っています(笑)

ありがとうございます。最後の質問なのですが、ズバリ今のヘイさんを一言で表すとどういう言葉が出るでしょうか?

「変化が大きい組織」だなと思います。成り立ちが経営統合ということもありますし、人も増えますし、会社も外からクービックみたいな会社も増えますし。毎年毎年全然違う景色が見えていくんですね。

なので、変化を楽しめる人はすごく向いているなと思っていて。別の言い方をすると、ラーニングとアンラーニングのバランスがいい人ですかね。変化の中で、過去良かったことがいきなり良くなくなったりもするので。

確かに、数カ月ごとに一つ大きな発表をされているような印象があります。

長く働いている人たちからすると、転職しているかのような変化がたくさんあると思うんですけど。それそのものを楽しめる人たちの方が向いている組織だなと思います。

最後にも素敵なお話を伺うことができました。本日はどうもありがとうございました!

【編集後記】

常に市場に新しい話題を提供し続けてくれている印象がある同社ですが、それでも中では、トライアンドエラーを繰り返しながら成長を遂げられているのだと改めて感じました。

 今後、より大きくなる中で、ビジョンが浸透した組織となった同社が更なる飛躍を遂げられることが今から楽しみです!

ヘイ株式会社ヘイ株式会社 取締役
佐俣 奈緒子氏
(役職等はインタビュー当時のものです)
<佐俣氏のプロフィール>
2009年より、米ペイパルの日本法人立ちあげに参画。加盟店向けのマーケティングを担当し、日本のオンラインサービス/ECショップへPayPalの導入を促進。2011年10月にペイパルジャパンを退職後、2012年3月にコイニーを創業。
現在ではPeople Experienceを管掌領域として、人事、労務、総務、広報、IT、ブランドなどを横断したチームにて、同社らしい仲間が活躍する組織を作るというミッションを抱えている。
※People Experienceという言葉の持つ意味は、インタビュー内でも触れています。