マテリアルグループ株式会社/吉田和樹氏・馬場亮平氏―仲間と挑むIPO。上場後の成長を見据えた戦略とは。(1/2ページ) - Widge Media

マテリアルグループ株式会社/吉田和樹氏・馬場亮平氏―仲間と挑むIPO。上場後の成長を見据えた戦略とは。(1/2ページ)

記事紹介

2024年3月に東証グロースへ上場したマテリアルグループ株式会社。2019年2月にファンドが入り、成長を加速させようとした矢先のコロナ禍。その後もひたむきにIPOをリードした取締役CFO・吉田氏、ゼネラルマネージャー・馬場氏。同社のIPO準備から達成後の成長戦略等について、お二方にお話を伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 佐野めぐみ

本日はありがとうございます。まずはお二方のこれまでのご経歴をお伺いできますか。

吉田:私は、大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任あずさ監査法人へ入所後、6年半ほど上場会社の監査や財務デューデリジェンスなどを行っていました。監査法人では、過去の意思決定や出来事を正しく財務諸表に反映できているかといったことがメインになってくるので、もう少し企業の将来の意思決定に関わる仕事がしたいと思い、ボストン・コンサルティング・グループ(以下:BCG)に移りました。

BCGには3年弱程いましたが、産業やファンクションに限定されることなく、本当に多種多様なプロジェクトにアサインしてもらいました。終盤はPEファンドのお客様のお仕事が増え、ビジネスデューデリジェンスや、買収後のPMIなどバリューアップのプロジェクトに関わる機会が多くありました。やりがいを感じていた中ではありましたが、あるご縁から、マテリアルグループでCFOを探しているのでどうかとお声がけいただいたんです。

当時のマテリアルグループは、グループ代表の青﨑が内部昇格する形で社長になっていました。彼は私と同い年で、二人三脚で経営ができるパートナーを探しているということで、とてもオープンでフラットな人柄が印象的でした。いわゆるワンマン経営者のもとに行くよりは、一緒に手を取りながら進むことのできる仲間を探している青﨑のスタンスにすごくフィットを感じまして。他社の話を伺うことなく、2019年8月にマテリアルグループへ入社しました。

取締役CFO 吉田和樹氏

ありがとうございます。馬場さんも教えていただけますか。

馬場:私も新卒で有限責任あずさ監査法人へ入所しました。そこで、最初にアサインされたのが吉田のチームだったんです。

お二人のお付き合いは長いのですね。馬場さんはどのくらい監査法人に勤めていらっしゃったのですか。

馬場:7年程です。その後、1年間コンサルティングファームのアクセンチュアに移り、2020年4月にマテリアルグループへ入社しています。

マテリアルグループへ転職されるきっかけは吉田さんですか。

吉田:私がお誘いしました(笑)。

馬場:吉田とは食事をしたり、結構コミュニケーションを取ったりしていたので、当時の私の状況を見て誘ってくれたんです。

吉田:本当に仕事ができてとても優秀なんです。私が先に監査法人を卒業したのですが、いつかまたどこかで一緒に働く様な気はしていました。

馬場:それは吉田の退職時にもらったメールに書いてあって、非常によく覚えています。

馬場さんはどのようなミッションを担っていらっしゃるのでしょうか。

馬場:私は、経営企画グループのマネージャーとして入社しましたが、会計がバックグラウンドなので、今は経理と経営企画を束ねたCorporate Finance&Strategy局のゼネラルマネージャーとして働いています。上場前は吉田と法務担当者と3名でIPO準備を進めていましたが、上場後はIRも担当しています。

ゼネラルマネージャー 馬場亮平氏

吉田さんがご入社された2019年当時、IPOの話題は出ていたのでしょうか。

吉田:はい。2019年2月にマテリアルグループの創業者である東義和さんから全株式をアドバンテッジパートナーズが譲り受けていたため、ファンドのEXITがIPOということだったんです。

CFOのミッションとしてIPOをリードされることは決まっていたのですね。

吉田:ただ、私自身、上場の過程や資本市場と向き合う経験がなかったので、具体的な大変さ、どんな変化が起きるかといったことは当時も全く分かっていませんでした。代表の青﨑とも漠然とIPOを頑張ろう、ただただやってみようという感じでしたね。

ご入社された直後はどのような領域から取り組まれたのでしょうか。

吉田:2019年8月に入社し、1件M&Aをしました。PMIをやって、中期経営計画を立てました。いきなり上場準備というよりも、まずは会社を大きくすること、事業成長にフォーカスしていたものの、コロナがあったことで、当時描いていたプランよりは一瞬足踏みしましたね。ただ、弊社の事業は予算の大きいマス広告とは異なり、コロナの影響は受けたものの、その余波は最後にくる感じだったんです。テレビCMは止まっても、PRの仕事や企業のコミュニケーション自体はなくならないので、事業は順調に戻りました。そして、2021年の秋頃に改めてビューコンさせていただき、野村證券さんと取組を進めるということを決め、本格的なIPO準備が始まりました。

馬場さんは2020年4月にご入社とのことでしたので、コロナの最中だったのではないですか。

馬場:はい。入社時からリモートワークで、オフィスへの初出社は6月だったと思いますが、緊急事態宣言によりリモートワークに戻ったり…といった状況だったので、最初のチーム飲み会も全てオンラインでした。同じタイミングでもう一人入社したメンバーがいたのですが、実際会ったことがなく、2か月間リモートでしかコミュニケーションが取れないという状況でした。

コロナ禍でのIPO準備はやりづらさのようなものもありましたか。

吉田:上場準備の最初は、規程類を整えたり、会社の基盤を整備したりといったガバナンスまわりを整えるところになるので、コロナに関わらず粛々とやっていました。

コーポレートチームの人員構成について教えてください。IPO前と現在ではどういった体制になっていらっしゃいますか。

吉田:私が入社した時は10名ぐらいです。経理、法務、労務と、ミドルオフィスが無くてバックオフィスのみといった体制でした。上場時から現在まで、約30名程になっています。

入社当時から比べると3倍になっているということですね。

吉田:経営企画のようなミドルオフィスの機能は、馬場が一人目で、広報やマーケティングもコーポレート部門にはありませんでしたが、それらの部署をコーポレートチームに加えて次第に大きくなってきました。CD本部(Corporate development本部)という名前です。

IPO準備をされる企業様は、まずは決算早期化ということで経理の採用などをされることが多くありますが、御社はそのあたりいかがでしたか。

吉田:それが、私が入った時点で既に月次決算が5営業日で締まっていまして!

素晴らしいですね!

吉田:経理のマネージャーの田中がしっかり管理してくれていたので、そもそも早期化の苦労がない状態からスタートした点はとてもありがたかったです。監査法人から経理まわりは基本的に問題ないというご評価をずっといただいていたので、その点は非常に大きかったと思います。

監査法人からのお墨付きがあったということですが、逆に課題感は何かあったのでしょうか。

吉田:労務でしょうか。PRコンサルタントは若いメンバーも多く、当たり前ですが36協定をしっかり守ろうなど、労務管理を改善することが大切でした。

馬場:あとは業績ですね。ボラティリティのあるビジネスなので、予測、見込みの精度を強く求められ、しっかりと証券会社さんへ説明していく部分は非常に苦労しました。

吉田:また事業としての収益性と人の生産性がダイレクトかつ密接に紐づくので、そこをグリップするために工数管理も導入しました。

工数の管理ですか。

吉田:ただ勤怠を締めるだけではなく、自分がどのプロジェクトにどれだけ時間を使ったかを記録してもらい、それをもとに会計に反映させています。管理職以上はメンバーの工数を見ながらプロジェクトの采配を管理するという仕組みを作りました。上場準備と直接的な関係はないかもしれませんが、工数管理なくして上場できる水準の事業の収益性やボラティリティの管理をできなかったのではないかと考えています。