【インタビュー】株式会社ユーグレナ/永田暁彦氏 - 自らのリソースは全て自社のために。「ユーグレナに何ができるか」を常に追い求める(4/4ページ)
投資先支援という立場から、社外取締役を経て、取締役CFOへ。東証マザーズ・東証一部への上場を牽引し、現在はリアルテックベンチャー支援の株式会社ユーグレナインベストメントの代表も務める永田暁彦氏。そのキャリアストーリーを伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 代表取締役 柳橋貴之
仕事の取り組み方として、大切にされていることはありますか?
「ユーグレナ社で働いている意味」というものを、常に追い求めているということはありますね。 一人のビジネスマンとして、お金だけを稼ぎたかったら、普通に転職した方が全然稼げるとも思っているんですよ。そのオポチュニティは全然ありますし。
でも、この会社だからこそ働きたい価値というものがあるんですよね。みんな忙しくなってくると忘れてしまうと思うんですけど、それをどう引き戻させるか、これはとても大切だなと感じていますね。
「人と地球を健康にする」というのが僕らの会社の理念なんですけど、自分達の仕事の中に「人と地球を健康にする」ということが、ちゃんとインクルードされているのかということを、こちらから言い続けるとか。
お金をもらう立場だけで仕事をするのであれば、シンプルに言うと、他にもっと良い会社はあると思うんです。
フィロソフィに共感して、なお且つそれを会社が実現させようとしているということに皆が共感できると、唯一無二の会社になれると思っているので。
その通りですね。
その前提として、自分自身がそう感じていないと意味がないですからね。 表面上の理念だけで、単にみんなを寄せ付けるためだけに存在していたりすると、何の価値も生まないですから。
だからこそ僕自身、経営戦略などを担わせてもらう限りは、その一つ一つにフィロソフィがしっかりと含まれているかということを意識すると、そういったことを大切にしていますね。
素晴らしいですね。 信念というか、使命感のようなものを、とても感じます。
そうですね。投資する側にいたというのは大きかったと思うんですけど、株主と経営者とはどういう関係性かということを常に意識していますね。
我々の株主って9万人もいるんですよ。JALさんと同じくらいですよね。 それだけの個人投資家の方々が、ユーグレナ社の未来にお金を渡して頂いているわけですよね。もしかすると夏のボーナスを全て使っているということだってあるわけじゃないですか。
出雲が発信している未来の画で、「本当かよ?」と思っている方もいるとは思うんですけど、それを一つも嘘にはしたくないんですよ。全て実現したいんです。
それは、自分の志向性というよりは、世の中に対して発信をして、それに期待をしてコミットメントして頂いた方々に対して、「やって良かった!」と思って頂きたいというだけなんですよね。
株主の方々に対する責任ですね。 そして出雲社長に対する愛や理解も非常に感じます。
出雲充という人間に対しては非常にリスペクトをしています。誰よりもリスペクトをしていると思いますよ。
僕は、出雲から発せられた未来の絵に、しっかりと道筋と脚本を書いて現実にしていくということに、喜びもそうですし、経営者としてのレスポンシビリティを感じているので。
だから仮に出雲が、「ちょっと走り続けるのが疲れたから休みますね」って言い出したら、たぶん僕やることが無くっちゃうと思うんですよ(笑)。
素敵な関係性ですね。
出雲充が面白んですよね。 仮に自分が起業したら、自分みたいな人が脇にいたら楽だと思うんですよね。一応それくらいのプライドは持って仕事をしているので。でも、出雲と同じくらい、その今の僕の立場の人をワクワクさせられるかというと、それは無理だと思うんですよ。それくらいの違いをとても感じているので。
だからこそ、僕は出雲を、Founder・社長として非常にリスペクトをしていますね。
今後のビジョンとしてはいかがでしょうか? リアルテックファンドに対する思いもあると思いますが。
そうですね。僕は「仕事に対する報酬は仕事である」ということをとても大切にしているんですけど、リアルテックファンドは、ある意味、僕にとって報酬なんですよね。
ユーグレナ社としてのビジョン・夢・伝えていることを、しっかりと実現していくと。その代わり、給与が欲しいとか、ストックオプションが欲しいとかではなくて、どうしてもやりたい仕事があると。そういったコミュニケーションが大切だと思っていて、リアルテックファンドはその中の一つでもあるので。
あくまで、ユーグレナさんとして掲げているビジョンを実行していくことにあるということですね。
そうですね。
未来が楽しみですね。 30年後など、どうなっていますかね。
30年後、それでもまだ僕らは60代ですよね。 あの当時、「必ずミドリムシで飛行機を飛ばす!」と言っていた。そしてそれをしっかりと実現させた。やっぱり出雲さんは素晴らしい経営者だね!と、世の中の方々に思って頂ける。そんな世界観ですね。
そこに僕が何をしたかなんていうことは全く関係なくて、働いている人たちに対しても「良かったね」と思って頂ける、そんな未来を想像しています。
永田さんらしいですね。
「僕は絶対にこれをやりたいんです!」というものが無くて申し訳ないんですけど(笑)。 基本的に、僕は出雲充の船に乗っているので。
あえて個人として挙げるとすると、報酬として頂いたリアルテックファンドで、世の中が良くなるであろう次世代の技術に、きちんとお金が行き届いて、ユーグレナ社と同じことが再現されていくという仕組みをつくる。 そういった流れが実現できると、社会の中での自分という人間の役割が、一定以上は果たせたかなと思えますよね。
2014年からは株式会社ユーグレナインベストメント代表取締役社長も兼務し、2015年には「リアルテックファンド」を設立。