【インタビュー】株式会社サイバーエージェント/曽山哲人氏 - 才能は、発掘するのではなく開花させる。才能開花の方程式をつくりたい。(5/5ページ) - Widge Media

【インタビュー】株式会社サイバーエージェント/曽山哲人氏 - 才能は、発掘するのではなく開花させる。才能開花の方程式をつくりたい。(5/5ページ)

記事紹介

「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに掲げ、AbemaTVの運営や、国内トップシェアを誇るインターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェント
時流をとらえた数々のサービスと同時に、独自の強固な組織運営が注目される同社において、そのHR領域を牽引する取締役・曽山哲人氏のキャリアストーリーを伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge 代表取締役 柳橋貴之

才能を「集める」よりも、「開花させる」というところにフォーカスを当てるということですね。

発掘しちゃ駄目なんですよ。あるんですもん、才能が。世にいる若者はみんな才能があるので。優秀な若者ばかりですよ、本当に。

それが根底にあるのですね。

そうです。みんな本当に才能豊かなんです。だから、どれだけ化けさせることができるかなんです。大化けさせられるかは僕ら先輩のやるべきこと。若い人は自分の才能に気付いてないことが多いと思いますね。

たまに聞くんですよ、「こういうことやりたいです」と言ってきたときに、割と大きいビジョンであっても「それしかできない(笑)?」って。するとみんな良い意味でピクッとなって、「いえ、そんなことないです」って言ってくるんです。

期待をかけることですよね。嘘じゃないですもん。本当はもっと才能あると思っているので。「もっとできるんじゃないの」と言われて、悪い気はしないですよね。

「君なら」ということですよね。プレッシャーをかける意味ではなく。

そうなんです。仕事のプレッシャーは、自分によってかかるのが一番良いと思っています。

「これがやりたい」と言って、「じゃあやってみて」となったら、その時点で、自分自身が勝手にプレッシャーをかけるじゃないですか。プレッシャーをかけるよりも、成果物とか、大化けすることとか、そっちを見た方が、お互いの利害も一致しますからね。

もちろん、実際は一筋縄ではいかないことが多いですけど、そういった心持ちが大切だと思っています。

昨今、スタートアップなど成長企業を中心に「CHRO」という役職者が増えてきています。たとえば、CHROと人事部長の違いを曽山さんなりに言語化されるとしたら、どんなところだと思われますか?

すごく難しいですね。個人的にはその二つを厳密に区分けしようとしていないんです。

CHROでも人事部長でも、すごい人事トップというのは、「経営人事課題」を見極められる人じゃないかと思っています。

経営人事課題ですか。

はい。通常の人事課題というのは随時出てくるものの、ある意味、山ほどあるわけじゃないですか。上司・部下の関係であったり、評価の問題であったり……。

例えば経営の掲げる中期目標があって、そこには当然、理想と現実のギャップがありますよね。このギャップを埋めるにあたって、「最も重要な人事課題は何か」というのが、経営人事課題だと僕は思うんです。

分かりやすいケースで言うと、アメーバブログのシステムは、サービス開始当初は社外の企業に発注していたんですが、それをすべて内製しようとなると、経営人事課題はエンジニアの採用になるんですよ。言葉にするとシンプルなんですけど。

エンジニア採用をやるという手段が大事なのではなくて、いかにサービスを良いものにするという経営課題が大事です。つくれる人が必要という経営人事課題を解決するために、エンジニアが大事という流れになるわけです。

そのポイントを見極められるかどうかという点が重要ですね。

そうなんです。なので、経営側としっかりとした話ができる人ということが前提になるかもしれないですね。経営と合意できる人じゃないと駄目ですから。

自分から「これ経営として課題ですよね」と問題提起するのもありだと思いますし、もしくは経営陣から「これ人事課題だから」と降りてきた際にそれを全て実行に動かすことのできる人でも良いと思うんです。

役員の中に人事がいることは確かに重要なことだとは思いますが、別にそれはなくてもできるはずだと思っています。

肩書というよりは、経営側としっかり話ができるか否かということが大切ということですね。

そう思いますね。大事なことは、「経営人事課題をどれだけ解決することができているのか」ということですから。

たとえば、「一番の経営人事課題は何ですか?一つだけ言ってください」と言うと、その会社のことが大体分かるんです。

今の御社で言えるものは何ですか?

僕らでいうと、今一番やりたいのは「キーマンの才能開花」ですね。エグゼクティブや若手エースの。このモデルをつくることです。

先程のお話とつながりますね。

そうなんです。今、点ではやっていて、事例も増えてきています。社内ヘッドハンターのチームも強くなってきたので、これを体系化したり、全社的に配置した方が良いよねと。

僕は才能開花の「方式」をつくりたいんです。「これとこれとこれをやったら才能が開花するから、全部署でそれをやっている」という状態になると良いなと思っていて。

仮の方式などもあるのですか?

この三つが大事だなと思うのは一応あります。

一つは配置。部署を移すだけでもパフォーマンスが上る人っていますよね。

二つめは裁量ですね。これは基本的には抜擢です。マネージャーになってもらうなど役職に関しても言えることです。

三つめが決断経験。同じ部署(同じ組織)のままではあるものの、「この商品を任せたい」とか、「全社活性化プロジェクトを手伝ってほしい」とか。肩書や部署の変化は無いものの、裁量権というか、決断しなきゃいけない機会に、才能開花をできるスイッチはあると思うんです。

たしかに! スイッチですよね、本当に。

スイッチなんですよ。それを試してもダメな場合は、また次やるという。

基本的にずっと同じ場所にいるとマンネリするというのは、本人がよほど自己学習しない限りは起こり得ることだと思っています。マンネリしないようにするには、配置か裁量か、何かプロジェクトを渡して決断経験をしてもらう。これが全社的なエースにも、しっかりと回っているという状態になったら良いなと思っています。

そういうことを常に考えていると、この会社でやりたいことはたくさんあるんですよ。

株式会社サイバーエージェント株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO 曽山哲人氏
1998年上智大学卒業後、株式会社伊勢丹(現 株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社し、紳士服の販売と EC サイト立ち上げに従事。
1999年に株式会社サイバーエージェントへ入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は取締役人事統括として採用・育成・活性化・適材適所に取り組む。
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