【インタビュー】株式会社シャノン - IPOに一発逆転は無い。人間関係も仕事も日々の地道な積み重ね(1/2ページ) - Widge Media

【インタビュー】株式会社シャノン - IPOに一発逆転は無い。人間関係も仕事も日々の地道な積み重ね(1/2ページ)

記事紹介

2017年1月27日に東証マザーズへ上場を果たした株式会社シャノン
IPOへ導いた同社の精鋭チームに、これまでの足跡と今後の抱負を伺った。

※インタビュアー/株式会社Widge ゼネラルマネージャー 山岡直登

<上場準備の開始~推移>

 早速ですが、IPO準備に取り掛かった時期についてお伺いさせてください。

友清:最初に、この3人のメンバーの入社時期からお話すると、千葉が2008年(8期)、私が2012年(12期)、飯野が2014年(14期) になります。

弊社は今年で17期目になるのですが、IPO準備の取り掛かりは結構前で、2010年(10期)に監査法人トーマツにショートレビューを行って頂き、2011年(11期)から監査契約を結びました。

この頃には既に最初の証券会社さんとも主幹事契約を結んでいましたね。

取締役経営管理担当 友清学氏

私は、当時外部支援側だったので、内部体制としては、元々管理部門を管掌していた副社長の永島と、経理財務は千葉が居て。人事総務にもう1名担当がいたため、管理部門は計3名がIPOに向けた組織の中核でした。

千葉さんは当時どういった業務内容だったのですか?

千葉:そうですね、2010年(10期)から2011年(11期)にかけては、経理をメインにしながらも、労務や総務、電話番とかバックオフィス全般を全てこなしていました。

人がいなくて、日常業務が非常に大変だったので、IPO準備は本当に進んでいるのか、この頃は全く実感がありませんでした(笑)。ひとまずちゃんとした会社にしようと、いろいろと試行錯誤しながら、日常業務に加えて、各種フローを整える日々でした。

友清:たしかに経理に関しても、上場基準のものにしていかなければならない中で、原価計算なども含めて手探りでやっていた時期ですよね。2012年(12期)くらいまでは、なんちゃって上場準備だったかもしれません。

なるほど。ちなみにこの時はすでに経理は内製化されていたのですか?

千葉:私が入ってから着々と内製化を進めていたので、この時期にはもう完了していました。給与計算はアウトソースしていましたけど。

経営管理本部 経理グループマネージャー 千葉弘之氏

本格的にIPO準備が動いたと感じられたのはいつ頃ですか?

友清:本格的にと言えるのは、私が入社をした2012年(12期)の中旬くらいからですかね。ただ、そこから2年は業績が目標に追いつかず、2014年(14期)くらいに一旦、仕切り直しをしています。このタイミングで主幹事も切り替えることになりました。

そして新しい体制で上場を目指していくのですが、業績進捗等の課題もあり順調には進んでいかなかったという時期もあり、何度かリスケをしながら何とか上場までいったという感じです。

<コーポレート組織の変遷>

上場に至るまで、組織としてはどのように変わっていったのですか?

千葉:2012年(12期)から、エンジンをかけてIPO準備を進めていく中で、人は足りない一方、予算的な問題で、即戦力の採用が難しかったということもありました。新卒メンバーを管理部に配属したり、社内コンバートで人事総務マネージャーを置いたりしましたが、そのマネージャーが異動後2年で退職してしまったりなど、非常に不安定な組織でした。ただ、14期に飯野が入社してから安定して動き始めたような気がします。

ここで飯野さんの登場ですね!

飯野:はい、私は元々は営業畑の出身で、人事総務は未経験で入社しました。

経営管理本部 人事総務グループマネージャー 飯野幸絵氏

そうだったのですね。はじめの業務範囲はどの辺りだったのでしょうか?

はじめは労務・総務、その後法務などですね。結果として経理や採用以外の業務を広く対応していました。

IPO準備企業で、人事総務の幅広い分野をカバーするのは大変じゃなかったですか?専門知識も必要なポジションだと思いますが…。

飯野:正直初期の記憶は飛んでいますが、キャッチアップと実務対応が同時並行で進んでいたのでバタバタしていた印象はあります。

どう対応されていたのですか?

飯野:当時は、密に相談できる友清を始め、専門的な分野で分からないことがあればすぐに顧問社労士や労基署に聞くというスタンスで、外部の方のお力を存分にお借りしながら、何とか進めていました。

一般的な労務知識などは、本やインターネットでも拾えたので、その都度調べながら進めていました。

友清:会社としては10期くらいから準備は始めていたので、会社の基本規程類はベースはあったものの、まだまだ整備ができていないことや形だけで運用出来ないものも多かった中で、飯野は未経験からのスタートにもかかわらず、本当に頑張ってくれていましたね。

オペレーション的な部分は早いタイミングでキャッチアップもしていましたし、例えば法務業務に関しても、前任者からの引き継ぎがとてもスムーズに進みました。

IPO準備時期に、未経験でこの分野を対応するのはなかなか難しいと思いますが、友清さんから見て、未経験でも対応できた理由はなんでしょう?

株式会社Widge ゼネラルマネージャー 山岡直登

友清:人がいなかったのが、逆に良かったのかもしれません(笑)。規程部分は、たたき台はあったものの、ほぼ一からのスタートだったので、もともとあるものをこねくり回すよりは、一から作る方が楽だったりするんですよね。

でも、飯野がしっかりと対応をしてくれていたので、労務・総務・法務は思い切って裁量権を渡せたのは本当に大きかったですね。

未経験でここまでできたのは、飯野さんのキャッチアップの早さも大きいですよね。

飯野:特に労務は自分にも関係することですので、誰でも地道にやっていけばできると思います(笑)。知識は後付けでもなんとかなりましたので。

もともと「これから作っていく」というのを聞いて入社したので、ある程度の心づもりができていたのも大きかったかもしれないです。

コーポレートチームはだいぶ小人数で対応されていると思いますが?

友清:そうですね。千葉を中心としたコアメンバーが定着して、しっかりとパフォーマンスを発揮してくれていたので、この人数でもやってこられたんだと思います。

千葉:私は上場の経験がなかったので、公認会計士として上場企業の監査やIPO支援の経験がある友清が近くにいてくれたということがとても大きかったです。上場企業とはどうあるべきかを知っているので、要所要所で締めてくれる。正直、上司がそういった経験の無い人だと絶対に回せなかったかなと思います。

友清:良くも悪くも、2010年(10期)から準備を始め、2013年(13期)以降、毎年N-1がズルズル続いていた…という状況でもあったので、2年で一気にというよりは、むしろしっかりとした準備期間になったので、上場準備という観点だけで言えば不幸中の幸いと捉えましたね。

Ⅰの部作成をはじめる頃には、連結とか連結CFとか非上場企業ではなかなかちゃんと作成できないものを、ある程度千葉が作成する体制にまで移行できていたので、IPO準備の本丸を迎えるころには、私が一次作成者に回ることはほぼなく、そのぶん、定性的な部分の作成や証券対応、東証対応に注力する時間が確保できました。

IPO準備が延びたことをプラスに捉え、しっかりとした体制で臨めていたということが、小人数で推進することができたポイントだったのですね。