【インタビュー】HEROZ株式会社/浅原大輔氏・鈴木義規氏 - ロジカルな考えによる合理化でIPO準備をスムーズに(1/5ページ)
2018年4月20日に東証マザーズへ上場を果たしたHEROZ株式会社。
IPOへ導いた同社の精鋭チームに、これまでの足跡と今後の抱負を伺った。
※インタビュアー/株式会社Widge パートナー 山岡直登
上場準備の開始~推移
本日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、IPO準備の取り掛かり時期についてお伺いさせてください。
浅原:まず、僕が入社したのが2013年6月です。設立は2009年4月ですが、ちょうど売り上げも立ち始めていたので、将来的な上場も見据えてCFOを採用したいということもあって、コーポレートの最初のメンバーとしてジョインしています。その半年後の2013年12月に鈴木が入社し、そこから準備に取り掛かりました。
取締役CFO 経営企画部長 浅原大輔氏
最初に監査を入れたタイミングはいつ頃ですか。
浅原:監査法人のショートレビューが入ったのが、ちょうどその前の期(2013年4月期)で、監査法人のショートレビューが締まるときに僕が入社したというタイミングです。入社してすぐに前の期のショートレビューの対応をやりました。最初は、監査法人からいろいろご指摘をしていただき、ご指摘の内容について粛々と僕の方で対応していくという状況だったのですが、さすがに1人では対応しきれず、とても良いタイミングで鈴木がジョインしてくれました。
2018年4月の上場だったことを考えると、5年前くらいからということなのですね。
浅原:そうですね。
ショートレビューの後はどういう体制整備をされましたか。
浅原:まず、会計まわりについては、鈴木が入社するまで全て外注をしていました。僕が入るまでは、創業者が取引先への振込や従業員の給与の振り込みなどもずっとやっていましたね。 僕が入社して引き継いだものの、ガバナンス上しっかりと体制を整備するようにという指摘を受けたため、アウトソースしていた経理機能を鈴木に内製化してもらいました。税金計算も社内で行い、税理士に確認していただくような体制にしましたし、他にも、見積、発注、売上の管理など、そのあたりも全て自社で構築していくような感じでしたね。
規程まわりはいかがでしたか。
浅原:規程は作らないと駄目だということで、ゼロから作りました。規程一式がダウンロードできるので、それを見ながら、弊社に合わせてカスタマイズして運用していくような流れだったと思います。 合理的に効率よく進めたいという前提のもと、弊社の業務フローを考えて必要な部分のみにコントロールを利かせれば良いと思っていたので、業務フローを最適化して、それに合わせて規程を置いていったようなイメージです。
なるほど。その他はいかがでしたでしょうか。
浅原:会計以外だと人事業務ですかね。今まで外注していた労務関連を、社内で確認できるような体制にしました。
株式会社Widge パートナー 山岡直登
主幹事が決まったタイミングは、いつ頃ですか。
浅原:主幹事は2015年くらいです。複数社とお話をさせていただいて、最終的にSMBC日興証券さんにお願いしました。
何が決め手だったのでしょうか。
浅原:弊社の場合ですと、「将棋ウォーズ」というアプリを展開していて、どうしても「ゲーム会社」として見られる傾向にありました。ただ、SMBC日興証券さんは、「AIの会社として見ます」と仰っていただいたということと、さらにエクイティストーリーの理解が深かったので、お願いしたような格好です。
なるほど。「ゲーム会社」ではなく、「AI会社」として見てくれる、そこが大きなポイントになったわけですね。
浅原:はい。それに、SMBC日興証券さんは、過去にCYBERDYNEさんや、ユーグレナさんなど、技術系の会社の主幹事をされていたので、そのあたりの造詣が深いのではないかと思い、話を進めました。それで、弊社の想いを伝えて、納得していただいたという感じですね。
基準期はこのあたりでという目安は、ある程度固めていたのでしょうか。
浅原:そうですね。ラインは引いていましたが、もう少し待ちましょうか、どうしましょうかという諸々のやり取りがあり、結果的に2018年の4月に上場できたということですね。
ありがとうございます。ちなみに、鈴木さんは、2013年12月にご入社されていますが、その前は東証一部上場企業で経理をされていたと伺いました。
鈴木:はい。経理関係を中心に、IPO準備業務にも携わっていました。そこでは、IPO前から入社してマザーズへの上場、その後、一部への市場変更も対応しています。
経理マネージャー 鈴木義規氏
素晴らしい経験をされていますね。なぜHEROZさんを選ばれたのですか。
鈴木:一つ目は、前職のIPOを通じて、様々な経験ができ、自分の価値を高められると感じていたので、それをまた経験の土台としてステップアップしたいなという想いがありました。そして、もう一つは、弊社の役員全員と話していて、人柄に惚れたことですね。この話、浅原には何回も言っていますが(笑)。
当時、AIの事業への理解はありましたか。
鈴木:正直申し上げると、あまり存じ上げませんでした(笑)。ただ、入社をしていろいろと学ぶことができたのはとても大きかったです。
ちなみに、鈴木さんの入社した当初の役割はどういった内容だったのでしょうか。
鈴木:当初はいろいろやりましたね。J-SOXにも携わっていますし、出勤簿のチェックなども行いました。その後、経理のメンバーが入ったことをきっかけに、経理を内製化し、そこから経理中心の業務になっていったという流れですね。
準備を進めていく中で、ミッションの変遷はありましたか。
鈴木:上場後の開示体制に耐えられるかという点を考えていましたので、上場前から四半期報告書や短信を作成していったということはありますね。 だいぶ前から作成していたおかげで、上場後もすんなりと入れたのは大きかったです。