【インタビュー】HEROZ株式会社/浅原大輔氏・鈴木義規氏 - ロジカルな考えによる合理化でIPO準備をスムーズに(4/5ページ) - Widge Media

【インタビュー】HEROZ株式会社/浅原大輔氏・鈴木義規氏 - ロジカルな考えによる合理化でIPO準備をスムーズに(4/5ページ)

記事紹介

2018年4月20日に東証マザーズへ上場を果たしたHEROZ株式会社
IPOへ導いた同社の精鋭チームに、これまでの足跡と今後の抱負を伺った。

※インタビュアー/株式会社Widge パートナー 山岡直登

大切にしていたこと

IPO準備の過程で、お立場上、心掛けていたこと、意識していたことなどがあれば教えていただけますか。

浅原:投資家対応については、やはりエクイティストーリーですね。特に「AI機械学習をBtoBで展開している会社」ということをしっかりと理解してもらえるように意識していました。 そして当然ながら、「嘘をつかない(風呂敷を広げ過ぎない)」ということも大切にしていたので、あるべき姿をそのまま伝えてきたつもりです。 そして、「AIの価値」ということを、徹底して伝えていましたね。

当時のAIに対する認知からすると、それは非常に大切なことでしたね。

浅原:そうでしたね。あとは、社外だけでなく、社内の啓蒙も意識していました。当時はやはりAIの会社が周りに無かったので、先ほどお伝えしたような「海外だとDeepMindという会社があって、Googleにここまで評価されている」というようなことを、社内でも適宜話していました。

社内への啓蒙ですね。

浅原:はい。従業員は皆好きでやっているものの、当然ながら「自分たちがやっていることはどこに向かっていくのか?」と不安に思うこともあるので、我々が「本当に価値のあることをやっているんだ」という発信を常に行っていました。特に、AIはすぐに売り上げがぼんっと上がるわけではないので、常に「やり続ければ上がる」ということを言っていましたね。

どのような形で発信されていたのでしょうか。

浅原:ちょうどN-2期に入った辺りからだと思いますが、月1回、全体ミーティングのようなものをやるようになりましたね。そして、年2回に全体キックオフミーティングもやっています。

そのような場でCFOとしてどういうことを語るのですか。

浅原:外の事例を伝えたり、「なぜ上場をするのか」という上場に対する考えなどを話していました。だんだん規程で締め付けが厳しくなっていく場面もあるので、その一つ一つにどういう意味があるのかという点も、丁寧に説明していきましたね。

社内にはオープンで進めていたのですか。

浅原:情報管理の観点から、一部のメンバーを除いて敢えて明確なスケジュールは伝えていなかったのですが、「上場に向けて準備はしている」という旨は伝えていました。上場ということでモチベーションも変わってくると思ったので。

上場が承認されたニュースで初めて知ったという社員の方もいるわけですね。

浅原:結果的にそうなった社員は多いと思いますね。もちろんマネジメントクラスには正確なスケジュールは共有していたので把握していましたが。

他に意識されていたことはありますか。

浅原:むやみに規程を作って重くなってしまっては良くないので、そうならないようにしてきたということですかね。これは、いまだに心掛けていることではあります。

ちょうど良いバランスってなかなか経験が無いと分からないものだと聞きますが、そのあたりはいかがでしたか。

浅原:僕は、論理的に考えれば経験がなくても分かると思っています。「何の為にその規程を作るのか」という本質的な面をしっかり落とし込んで整理をして、「規程」を作る理由があるものだけを進めました。なので、理由が見出せないものは、単に無駄が増えるだけなので、前には進めていません。

論理的に組み立てるということですね。

浅原:はい。場当たり的に対応してしまうと良くないので、常に全体のフローを考えて、その中で必要であれば作りますし、他でコントロールが利いているようであれば不要だと思います。 証券会社さんをはじめ、外部はいろいろと作りたがるんですけど、納得感がないものはしっかりコミュニケーションを取って、具体的に納得するまでは入れなかったですね。当然ですが、逆に、必要がないということを論理的に証明できないものは、しっかりと入れるようにしていました。

社員の方々としては、良かったですね。

浅原:「他社に比べて、うちはできる限りみんなのために軽くしている」という話もよくしていました(笑)。

ありがとうございます。鈴木さんは何か心掛けていたことなどございますか。

鈴木:そうですね。極めて当たり前のことですが、絶対に期限を厳守するということは心掛けていましたし、今でも常に意識をしています。 聞くところによると、遅れてしまう会社さんも結構あるようですが、相手の心象は非常に重要ですからね(笑)。

何か工夫をされていたこともあったのでしょうか。

鈴木:特に工夫ということは無かったです。当然、ルーティーンと突発的な業務とが被るタイミングはありましたが、その時は私の経理業務を他の方にやってもらい、私はIPO関連業務に携わるなど、2人の体制だったのでうまくコントロールできたように思います。

浅原:鈴木の場合、1回経験があるというのは本当に大きいと思います。ゴールが分かって逆算をすることができますからね。